ASCII倶楽部

このページの本文へ

ASCII Power Review 第301回

オプションもたくさんあって楽しめます

3万円台で買える「全方向障害物検知+全面プロペラガード」の安全Vlogカメラだ=「DJI Neo 2」実機レビュー

2025年12月15日 06時00分更新

文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷



 ドローンを飛ばすのはなかなか難しい。特に小型ドローンは一見お手軽のようだが、センサーが限られており、障害物に当たって落下してしまったり、木に引っかかってしまうこともある。ましてや人や車などにぶつけてしまったら目も当てられない。

 DJIの最新ドローン「DJI Neo 2」は機体単体で3万8390円というエントリーの価格帯ながら、全方向障害物検知機能を搭載。

 また全面保護プロペラガードを備えているので、万が一、人にぶつかったとしても怪我を負わせる可能性は限りなく低いと言える。

 とは言え現在、ドローンを飛ばすためにはさまざまな手続きが必要で、制約もある。この点を踏まえつつ、DJI Neo 2の実機レビューをお届けしよう。

「DJI Neo 2」実機レビュー

「DJI Neo 2」3万8390円~

複数センサーにより
全方向障害物検知機能を実現

 

 DJI Neo 2はDJIのエントリー向けドローンの第2世代モデル。本体サイズ/重量は「デジタルトランシーバー」なしで147×171×41mm/151g、デジタルトランシーバーありで167×171×54mm/160g。「DJI Neo」が130×157×48.5mm/135gだったので、わずかに大きく、重くなっているわけだ。

 DJI Neo 2最大の売りは全方向障害物検知機能である。前面にLiDARセンサー、上面と下面に「全方向単眼ビジョンシステム」をひとつずつ、下面に「下方赤外線検知システム」を配置。これらをすべて組み合わせることにより、全方向に対して障害物を検知可能となっている。

 この障害物検知は、コントローラーで操作するときも、自動飛行するときも機能するので、ユーザーはほぼ障害物に当たる心配をせずに利用できる。

 ただし細い枝などはセンサーに反応しないこともあるので、ある程度の注意は必要。また誤動作する可能性もゼロではないので、利用者として適法に、かつ周囲の人々や建物などに対して注意を払う必要があるのは言うまでもない。

「DJI Neo 2」実機レビュー

バッテリー、デジタルトランシーバー込みの実測重量は160.4g

 ちなみに「DJI Neo 2デジタルトランシーバー」は送信機やゴーグルでドローンを飛ばす際に、安定して低遅延で映像伝送するためのパーツだ。

 後述する手のひら操作のみで飛行させる際には、取り外しておけば機体重量が減るので、飛行時間を延長可能だ。

「DJI Neo 2」実機レビュー

本体サイズ/重量はデジタルトランシーバーありで167×171×54mm/160g。バッテリー上面にあるのは電源ボタン、バッテリー下にあるのは「全方向単眼ビジョンシステム」(上方と水平方向用)

「DJI Neo 2」実機レビュー

後方にあるのが「全方向単眼ビジョンシステム」(下方と水平方向用)。その上にあるのが「下方赤外線検知システム」

119.8度の超広角で
4K60fpsに100fpsスローモーション撮影が可能

 

 ドローンとしての基本性能もDJI Neoから向上している。イメージセンサーは1/2インチサイズでFOV119.8度、焦点距離は(35mm判換算)で16.5mm、F2.2、フォーカス0.7m〜∞を採用。DJI Neoの最大映像解像度は4K/30fpsだったが、DJI Neo 2は4K/60fps、4K/100fpsスローモーション撮影が可能となった。

 またジンバルも1軸メカニカルジンバルから、2軸メカニカルジンバルにアップグレードされた。DJI Neoでは振動を抑える「RockSteady」、水平を保持する「HorizonBalancing」などを実現するために電子式手ブレ補正機能が組み合わされていたが、DJI Neo 2は2軸メカニカルジンバルにより映像をトリミングしたり、劣化させることなく映像安定化の恩恵を受けられるわけだ。

「DJI Neo 2」実機レビュー

前方右側にはLiDARセンサーを内蔵。ジンバルは2軸メカニカルジンバル。ジンバルの機械的可動範囲はチルトが-125度~105度、ロールが-43度~43度。操作可能範囲はチルトが-90度~70度。

「DJI Neo 2」実機レビュー

左側面と右側面。衝突の可能性が高い側面部は重点的にカバーされている

「DJI Neo 2」実機レビュー

前面左側にはディスプレーが配置されている

「DJI Neo 2」実機レビュー

左が離陸ボタン、右が選択ボタン。選択ボタンで撮影モードを切り替え、離陸ボタンでその撮影モードを実行する。現在選択されている撮影モードは前面のディスプレーで確認できる

「DJI Neo 2」実機レビュー

デジタルトランシーバーは4本のネジで固定されている。デジタルトランシーバーを外すとUSB Type-C端子が現われる。デジタルトランシーバーにもUSB Type-C端子が用意されているので、装着したままでもデータ転送や充電が可能だ

「DJI Neo 2」実機レビュー

バッテリーをはずした上面に認証情報が記載されている。もちろん技適番号も記されている

ノーマルモードの上昇下降速度は150%に向上
最大風圧抵抗も10m/s超え

 

 本製品には下記の3セットがラインナップされている。各アクセサリーは単体でも購入可能なので、最初は「DJI Neo 2(機体単体)」から始めて、必要に応じてアップグレードすることもできる。

DJI Neo 2(機体単体):3万8390円
 機体、バッテリー×1、プロペラガード(セット)
DJI Neo 2 Fly More コンボ:6万6660円
 機体、RC-N3、デジタルトランシーバー、バッテリー×3、充電ハブ、プロペラガード
DJI Neo 2 Motion Fly More コンボ:9万1740円
 機体、RCモーション3、ゴーグルN3、デジタルトランシーバー、バッテリー×3、充電ハブ、プロペラガード

「DJI Neo 2」実機レビュー

DJI Neo 2(機体単体)の同梱品一覧

「DJI Neo 2」実機レビュー

DJI Neo 2 Fly More コンボの同梱品一覧

「DJI Neo 2」実機レビュー

DJI Neo 2 Motion Fly More コンボの同梱品一覧

「DJI Neo 2」実機レビュー

DJI Neo 2 Fly More コンボに同梱される「DJI RC-N3 送信機」

「DJI Neo 2」実機レビュー

専用アプリ「DJI Fly」をインストールしたスマホをディスプレーとして使用する

「DJI Neo 2」実機レビュー

「DJI Neo 2 2WAY充電ハブ」ではバッテリー3本を同時に充電できる

 「DJI Neo 2インテリジェントフライトバッテリー」の容量は1606mAh/11.5Wh。重量は実測46g。1本のバッテリーで最大19分間飛行可能だ。

「DJI Neo 2」実機レビュー

「DJI Neo 2インテリジェントフライトバッテリー」の容量は1606mAh/11.5Wh

 なお、「DJI Neo 2 Motion Fly More コンボ」のゴーグルを使用した飛行は「目視外飛行」となるため、国土交通省への承認申請が必要となる。また安全のための補助者の同伴も必須だ。初めてドローンを購入するのであれば、「DJI Neo 2(機体単体)」または「DJI Neo 2 Fly More コンボ」が選択肢となるわけだ。

「DJI Neo 2」実機レビュー

DJI Neo 2 Motion Fly More コンボに同梱される「DJI Goggles N3」

「DJI Neo 2」実機レビュー

同じくDJI Neo 2 Motion Fly More コンボに同梱される「DJI RC Motion 3」

 運動性能はモードによって変わる。
・最大上昇速度
 0.5m/s(シネモード)
 3m/s(ノーマルモード)
 5m/s(スポーツモード)
・最大下降速度
 0.5m/s(シネモード)
 3m/s(ノーマルモード)
 3m/s(スポーツモード)
・最大水平速度
 8m/s(ノーマルモード)
 12m/s(スポーツモード)
 12m/s(トラッキングステータス)

 DJI Neo 2はDJI Neoに対して、ノーマルモードの最大上昇速度と最大下降速度は150%相当に向上、最大水平速度は133%相当に向上、スポーツモードの最大上昇速度は167%、最大下降速度と最大水平速度は150%相当に向上している。

 運用限界高度の2000m、最大航続距離の7kmは変更がないが、最大風圧抵抗はDJI Neoが8m/sだったのに対して、DJI Neo 2はその約134%相当となる10.7m/sに向上している。風が強い日にはドローンを飛ばすべきではないが、突然の突風などに対してもより耐えられるだけの運動性能を備えたことは間違いない。

「DJI Neo 2」実機レビュー

DJI Neo 2はDJI Neoに対して、ノーマルモードの最大上昇速度と最大下降速度は150%相当に向上、最大水平速度は133%相当に向上

「DJI Neo 2」実機レビュー

DJI Neo 2はDJI Neoに対して、スポーツモードの最大上昇速度は167%、最大下降速度と最大水平速度は150%相当に向上

さすがDJIレベルの高精度
自動飛行とジェスチャー操作が楽しい

 

 DJI Neo 2は機体単体で販売されているとおり、専用ソフトウェア「DJI Fly」をインストールしたスマホをコントローラーとして操縦可能だ。また単体でも、ユーザーを認識して、追尾飛行させたり、見栄えのいい自動撮影を実行できる。ただし初回起動時にアクティベーションが必要なので、スマホなしにDJI Neo 2を利用することはできない。

 下の動画では、左側面の選択ボタンで「Follow」を選択したあと、離陸ボタンを押して、飛行&撮影を開始。いったん小走りで追尾させたのち、右の手のひらを認識させ、上下左右に移動。

 さらに両手を広げて後退、両手を狭めて前進させたのち、離れた場所から手のひらを上に向けて着地させている。一連のジェスチャー操作はほぼ遅滞なく認識している。コントローラーなしでドローンを操作できるのは、まるで魔法でも使っているような感覚だ。

 なお、以降の動画をご覧いただく前にお伝えしておくが、今回の撮影はサバイバルゲームフィールド「H.E.A.D.S 川越」から許可を得て、実施している。また、ジェスチャー操作、目視外飛行においては、補助者立ち会いのもと、補助者にコントローラーを預けて万が一の事態に備えている。

 ドローンの目視外飛行については、国土交通省の「無人航空機の目視外飛行に関する要件(https://www.mlit.go.jp/common/001232092.pdf)」などを確認したうえで、適法の範囲内で行なってほしい。

ジェスチャー操作はほぼ遅滞なく認識している
 

 今回驚かされたのが全方向障害物検知機能の高い性能だ。サバゲーフィールド内の障害物の間を軽く走ってみたが、しっかりと追尾してくれた。立体的に障害物を認識しているのか、避け方もスムーズだ。

 ただ4~5回ほど試したとき、一度だけ小枝に上から引っかかって、被写体を見失ったことがあった。ただこれももう少し高い距離から追跡するように設定していれば、避けられたと思う。DJI Neo 2の全方向障害物検知機能はかなり精度が高い。

ふたつ目の動画では小枝に当たって、被写体を見失っている。ただプロペラガードの中に枝が入らなかったおかげで、墜落することはなかった
 

 今回新たに追加されたのが「セルフィーショット」。ロング、全身、腰上の3パターンを自動撮影してくれる。ただ今回試したときには、それぞれかなり遠くからの撮影となった。「セルフィーショット」実行時の距離が遠すぎたようだ。

「DJI Neo 2」実機レビュー

右上のボタンが「セルフィーショット」。ロング、全身、腰上の3パターンを自動撮影する

「DJI Neo 2」実機レビュー

この3枚はセルフィーショットで撮影した写真。実行時の距離が遠すぎた可能性が高い

 DJI製ドローン定番のAIを使った被写体トラッキング機能「クイックショット」としては、指定した距離、高さまで飛行してから、再び近寄ってくる「ドローニー」、被写体周囲を旋回して撮影する「サークル」、指定した高さまで上昇し、再び戻ってくる「ロケット」、同じ位置でホバリングしつつ被写体を追いかける「スポットライト」、被写体の大きさを変えずに背景だけを歪ませる「ドリーズーム」などを搭載。特に代表的なドローニー、サークル、ロケットについては、DJI Neo 2単体で実行可能だ。

指定した距離、高さまで飛行してから、再び近寄ってくる「ドローニー」
 

被写体周囲を旋回して撮影する「サークル」
 

指定した高さまで上昇し、再び戻ってくる「ロケット」
 

被写体の大きさを変えずに背景だけを歪ませる「ドリーズーム」
 

 画質については、今回のテスト環境下では申しぶんない品質だと感じた。ほぼ快晴という天候にも恵まれていたが、逆光下でも露出やホワイトバランスがずれることがなく、自然な発色で撮影できた。解像感も40インチ以上の大型テレビで鑑賞できるクオリティーだ。

 ドローンの夜間撮影にはさらに厳しい条件をクリアーする必要がある。日中屋外の撮影であれば1/2インチサイズのイメージセンサーで問題ないはず。少なくとも一般ユーザーであればDJI Neo 2は十分すぎるカメラ品質を備えていると言えよう。

DJI Neo 2で撮影した動画(3840×2160ドット)
 

高性能な機体だからこそ
法令とマナーを理解したうえで安全に楽しんでほしい

 

 エントリー機ながら全方向障害物検知や2軸メカニカルジンバル、4K/60fps撮影など、DJI Neo 2は初代から大きく進化し、誰でも安心して高品質な撮影を楽しめるドローンへと仕上がっている。ジェスチャー操作や豊富な自動撮影モードも魅力だ。

 ただしくれぐれも留意していただきたいのは、日本でドローンを飛行させるには申請や飛行ルールの順守が不可欠だということ。場所選びや安全確保も避けて通れない。

 筆者も今回レビューするにあたってはリモートIDの取得はもちろんのこと、ドローン専用の保険に加入している。高性能な機体だからこそ、法令とマナーを理解したうえで安全に楽しんでほしい。

カテゴリートップへ

この連載の記事

ASCII倶楽部の新着記事

会員専用動画の紹介も!