丸の内エリアの古きよきレトロなスポットを巡り、魅力を深掘りする本連載。今回は、JR東京駅で見つけた、ちょっと変わったものをご紹介します。JR東京駅はこの連載の取材でも利用していますが、こんなものがあったなんて!
駅の改札内に立つ、赤レンガの駅舎を模したユニークなポスト
ある日、JR東京駅に降りて、丸の内中央口の改札に向かおうとしたときのこと。改札手前に「ポストがあるなー」と思いながら、通り過ぎようとしたところ、いつもとどこか違う雰囲気を感じて思わず立ち止まってしまいました。あら? このポスト、下のほうは赤い縞模様になっていて、上には何かが乗っています。ちょっと工作っぽい雰囲気もあり、かわいいですねー。
投函口は2つあり、右の青のほうには「通常郵便」、左の赤のほうには「風景入通信日付印希望」と記されています。左側に投函すると、特別な消印を押してくれるようですよ。 へー、これは特別感がありますね!
風景印の見本を見て気づきました。そうか、ポストの赤い縞模様は丸の内駅舎の赤レンガを模していて、上に乗っているのは駅舎のドーム屋根なんですね。こんなところに、こんな楽しいポストがあったとは…。まさに、ここ丸の内にしかない特別なポストです。
2007(平成19)年8月までは、違う場所に赤レンガの駅舎をかたどったポストがありましたが、駅舎の復元工事のために撤去され、2012(平成24)年10月にドーム屋根を乗せた現在のポストが設置されたそうです。丸の内散策の記念としてポストカードを投函するのにぴったりですね。
駅南口にもポスト発見。大正時代を感じるレトロな丸い形
この風景印が押された郵便を受け取ってみたいな、と思い、JR東京駅丸の内南口改札の目の前に立つ商業施設「丸の内KITTE」に向かうことに。もともと旧東京中央郵便局舎があったところで、1階に「東京中央郵便局」があるので、ここでハガキと切手を買って手紙を投函しようと考えたわけです。
向かう途中、丸の内南口改札の外にもう1つ見慣れないポストを発見しました! 投函口にひさしが付いた真っ赤な丸形のポストです。乗降客の人混みに紛れていましたが、スッと立つ姿はなかなかの存在感。このレトロな丸い形、今ではほとんど見なくなりました。懐かしいですねー。
このポストの正式な名前は「丸形庇(ひさし)付郵便ポスト」。大正時代に製造され、茨城県神栖市の郵便局で使われていたものだといいます。1986(昭和61)年7月から同市内の「みだ保育園」に学習用として寄贈されていたことも。そして、2014(平成26)年12月、東京駅が開業100周年を迎えるにあたり、駅開業と同じ時期に造られたこのポストを当時の原型のまま復元・設置したそうです。
JR東京駅の開業は1914(大正3)年。このころのポストはこのような形だったのですね。こんなところで大正時代から現代に続く歴史を感じられるとは思ってもいませんでした。消印は特別なものではありませんが、実際に投函もOKです。
駅舎が描かれた絵ハガキを、昭和時代の旧局長室でしたためてみる
この「丸形庇付郵便ポスト」から「東京中央郵便局」は徒歩30秒ほど。中に入ってみると、なんと、そこは郵便や東京にまつわる雑貨が集まる、隠れスポットでした。郵便カウンター前に物販スペースに設けられ、絵ハガキのほか、トートバッグやポーチ、マスキングテープや一筆箋など、ユニークな文具や雑貨がズラリ。日本の食べ物や寺社などをモチーフにした“ザ・日本”、“ザ・江戸”といったものも多く、外国人観光客も訪れていました。見ているだけで楽しくて、テンションが上がりますねー。
絵ハガキコーナーで、丸の内駅舎を描いた素敵なポストカードを見つけました。どれもモダンなタッチでオシャレ~。これを購入して手紙を書いてみることにしました。
カフェにでも入って手紙を書こうかな、と「丸の内KITTE」のフロアマップを見ていたら、4階に「旧東京中央郵便局長室」という文字を見つけました。無料で開放されているスペースで、「誰かを思いながら手紙を書ける空間」としても利用できるそう。おぉ、今の私にぴったりの場所ではないですか!
入ってみると、そこにはあめ色の木の床、漆喰の天井、重厚な机などが配され、まるで時が止まったかのよう。窓からは丸の内駅舎のドーム屋根がすぐ目の前に見え、外の喧騒とはうって変わって静かな時間が流れています。東京駅のすぐ目の前にこんな素敵な空間があったのですねー。
案内板によると、ここは1931(昭和6)年に建てられた旧東京中央郵便局の歴史を継承する空間として、当時の内装を保存・再現したスペースだそうです。室内には新たに置かれたベンチや、手紙を書けるカウンターなどもあり、丸の内駅舎を眺めながらひと息つくのにもぴったり。こんなところでポストカードを書くなんて素敵! タイムスリップしたような感覚にひたりながら、ペンを走らせました。
帰り道、JR東京駅丸の内中央口の改札を通って、「東京駅型ポスト」にポストカードを投函してきました。いつ届くかな? 楽しみです。
2日後――。届きました! あの特別な風景印がちゃんと押されています。今回は自分宛てに、このポストを見つけた1日のことを書いたのですが、手紙が届くのってやはりうれしいものですねー。最近はすっかりメールに頼っていますが、これからもときどき書いてみようかな。
ということで、第33回の「東京駅で見つけたポスト」のレポートはおしまい! 思いがけず、郵便にまつわる1日となりましたが、手紙を書く静かな時間やポストに投函するときのドキドキ感、受け取ったときのうれしさを再発見することができました。次はどんな「レトロ」に出合いに行こうかな~。
東京駅丸の内中央口構内ポスト(通称「東京駅型ポスト」)
住所:東京都千代田区丸の内一丁目9-1 JR東京駅1F 丸の内中央口改札内
時間:始発~終電時間まで
丸形庇付郵便ポスト
住所:東京都千代田区丸の内一丁目9-1 JR東京駅1F 丸の内南口改札外
時間:始発~終電時間まで
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