PUACL2026で活躍中のプロ選手に聞いた

【PUACL2026】「個人競技をした上で、結果がチームプレイになればいい」INSOMNIA/Obuyan選手インタビュー【ポケモンユナイト】

文●モーダル小嶋/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

国内のポケモンユナイト界のトップを走り続ける、Obuyan選手にインタビューしました

 戦略バトルゲーム『ポケモンユナイト』の公式国際大会、「Pokémon UNITE Asia Champions League 2026」(以下、PUACL2026)では、予選リーグが開催中。プレイオフ進出をかけた激しい争いが繰り広げられています。

 PUACL2026は国内トップレベルの選手たちが技術と戦略を競い合う場であると同時に、それぞれのチームや個人が積み重ねてきた時間の集積でもあります。試合結果だけを追っていては見えにくい背景や、プレイに込められた意図は、選手自身の言葉によって初めて輪郭を持つ部分もありましょう。

 本記事では、PUACL2026の舞台で戦うINSOMNIA/Obuyan選手のオンラインインタビューをお届けします。

INSOMNIA/Obuyan選手

 Obuyan選手といえば、PUACL2025 FINALSでINSOMNIAが優勝した際のメンバーであり、INSOMNIAのエースとして活躍しているトッププレイヤー。自身のYouTubeチャンネルでも積極的に配信し、ポケモンユナイトの戦術や情報を紹介しています。

 また、1月には「日本eスポーツアワード2025」のeスポーツプレイヤー部門、MOBAゲームプレイヤー部門も受賞。名実ともに、国内のポケモンユナイトのシーンを代表するプロ選手です。

 選手の言葉を通して、PUACL2026という大会の現在地と、ポケモンユナイト競技シーンの奥行きを感じ取ってください(※インタビューはDay4終了時に実施したものです)。

eスポーツが日本の中でもさらに一段階盛り上がった

「日本eスポーツアワード2025」の話題の際、「壇上で、噛みまくってしまって……」とはにかみながら答えてくれました

——まずは「日本eスポーツアワード2025」MOBAゲームプレイヤー部門の受賞、おめでとうございます。

Obuyan選手 ありがとうございます。

——受賞したことの喜びであったり、意義であったりといった部分は、どのように感じていらっしゃいますか。

Obuyan選手 僕自体、ゲームをやっていて、「表彰されるものではない」という認識の世代だったので。今までは、ゲームで褒められるということに違和感が結構あったんですね。

 でも、今ではeスポーツというものが認められてきた。自分が認められるというよりは、僕を通じて、eスポーツ全体や、ポケモンユナイトというタイトルが盛り上がる要因となるイベントだったのかなというふうに思っています。

 表彰はされているんですけど、自分が「おめでとう」と言われたというよりは、eスポーツが日本の中でもさらに一段階盛り上がったと思える瞬間だったかなという認識ですね。

攻めの姿勢をとらないといけない

——リーグの質問に移りますと、いよいよ予選リーグも中盤に差し掛かりました。チームの現在地というものをどのように見ていらっしゃいますか。

Obuyan選手 予選リーグでは1日4試合するんですけど、2勝2敗が多くて。Day2で3勝1敗を取れたと思ったら、Day4では1勝3敗だったりで、結局、平均2勝みたいな状態になっている。すべての平均、ど真ん中。順位もど真ん中という感じなので。

 ちょっと工夫しないと、安定して(プレイオフ圏内の)8位に残れないっていうのもそうですし、トップはなかなか目指せないなと。折り返しということもありますので、今までとはちょっと違った意味で、攻めの姿勢をとらないといけないのかなというふうに思っています。

Day5終了時点で、INSOMNIAは5位。Day6〜Day7でさらに順位を上げられるか

シンプルに自分を高めるために、いろいろ試している

——「攻めの姿勢」「変えていきたい」というお話が出ましたけど、大会序盤と比べてプレイ面、あるいは準備の面で変えてきたこと、あるいは今後変えなければいけないなと考えていることはありますか。

Obuyan選手 チーム単位としては、やっぱりコンディションを整えようねとか、ちゃんと声出そうねとか。また、大会特有の流れというものもあるので、あらためてそれを共有するというのが準備になってくるんですが。

 僕個人としては、本当にルーティンの話になってくるんですけども……「よく寝る」などのルーティンに加えて、気合を入れるために、練習するときに栄養ドリンクを飲んでるんです。それを取り入れているという感じですね。

——おお、フィジカル面のお話なんですね。ちょっと驚きました。

Obuyan選手 スポーツ選手って、フィジカルというものが視認しやすいというか。使うところが、腕だったりとか、身体だったりするじゃないですか。

 一方、eスポーツ選手のフィジカルって、“脳”だったりする。そこを鍛えるとか、最高の状態を維持するとかっていうのは、正直、セオリーもまだ確立されてないのかなあと思っていて。

 それで、シンプルに自分を高めるために、練習では僕が好きなプロのスポーツ選手などの意見を参考にして、いろいろ試していますね。

eスポーツではイメージしにくいかもしれない「フィジカル」の話題にも、よどみなく答えていくObuyan選手

気持ちを切り替えるというような発想はない

——長いリーグ戦で、気持ちの切り替えとかはどうされてますか?

Obuyan選手 そうですね。気持ちの切り替えか……。「気持ちを切り替える」とか、ないですね。やっぱり、オフになっちゃダメなので。オン以外はないので、切り替わらないかな、と思います。

 “長期のリーグ”という言葉にも、Day1からPUACL2026 FINALSまでという面での“長期”だったり、1日のスケジュールが朝から夜まで“長い”とか、いろいろな意味があると思うんです。いずれにしてもオフではないので、オンの気持ちなので。そこに「気持ちを切り替える」というような発想は、僕はないですね。

——我々からすると、プロの選手たちは「切り替えが早いだろう」「こういう切り替えをしているだろう」と、先入観を持って見てしまうところがあるけれど、そうではないと。

Obuyan選手 スポーツで、「っしゃあ、切り替えていこう!」みたいなかけ声があるじゃないですか。あれで切り替えられたら、そんな都合のいいことはないですからね(笑)。

 感情とかに揺さぶられやすいタイプなら、そういうことで「あ、しっかりしないと」って切り替えられると思うんですけど。理論で考えていく人は、「切り替えていこう」となっても、「そりゃそうやろ」みたいな感じになりがちではあるというか。「切り替えろと言われても、そういうもんやし」みたいなね。

環境が変わったら、やっぱり「やってる奴が強い」

——組み合わせとしては、11チームとの対戦を一通り終えられたかと思います。戦略面として、現時点で把握されていることや、それを踏まえて今後どのように動きたいかといったことなど、差し支えのない範囲でお聞かせいただけますでしょうか。

Obuyan選手 今回のPUACLって、途中でマップが変わるという……MOBAの中ではとても珍しい、“ゲームの基礎が塗り替わる”瞬間があるんですね。

——確かに、Day4からカイオーガマップでの対戦になって、ランキングにも変動が見られたという印象です。

Obuyan選手 そのマップが変わった後の実力差というところは、ちょっとびっくりしたところがあって。もうシンプルに、やっぱり「やってる奴が強い」みたいな。長く新しい環境をトライしている人がシンプルに強いな、という環境なんだなと思いました。

 今はカイオーガマップなんですけど、そのマップの土台作りの段階ですね。まだセオリーが確立されていない状態です。その中で、一番早くセオリーを見つけたチームがどんどん行くわけで。もちろん、セオリーの数を増やすことも重要になってくるんですけど。

 そのセオリーを見つけているチームがずば抜けているのかなと考えると、やっぱりFENNELはかなり練習量が多いと思いますし、質も高い。予選リーグで1位になっているのもすごく順当というか、「その分、練習してますからね」みたいな印象はありますね。さすがだなと。

意識しているプレイヤーは「全員」

——そういった環境が変わっていく中で、いま見えているものとか、今後見つけなきゃいけないものといったことについては、どうお考えですか。

Obuyan選手 大会前のインタビューでも話したことなんですが、ポケモンユナイトはチーム競技、5対5のチームバトルなんです。……なんですが、割と個人競技にもチェンジしてきている段階です。

 少数での戦い、1対1での戦い。味方をフォローする必要がない、あるいは味方を見すぎてはいけない状況、「自分が最大バリューをいかに出すか」という場面が増えてきたので。チームゲームではあるんですが、個人競技の部分が増えてきたのかな、という認識はありますね。

——“個人競技”というワードが出ましたが、チーム内において個人として注目しているプレイヤーであったり、あとは他チームを見て「このプレイヤー、見習うところがあるな」とか「このプレイヤーを目指したいな」と思ったりするような、注目しているプレイヤーがいるなら教えていただきたいです。

Obuyan選手 そうですね。これは僕の一番苦手な、難しい質問になりますね(笑)。意識しているプレイヤーというのはやっぱり「全員」なので。

 リーグ戦を見直して、上手い人のプレイは全部取り入れますね、正直。なので、質問の答えは多分「全員」になると思います。海外の試合でも日本の試合でも、全員を真似して、それを自分に落とし込むことは、昔も今も多分変わらずにやっていくかなと。

 それは味方に対しても同じですね。味方の中でもダメな動きがあれば「これはダメなんだろうな」と思うし、良い動きがあれば「あ、それ自分も取り入れよう」と思うので。自分以外も全部フラットというか、味方でさえ何か盗むというか。味方と争いもしているぐらいの感覚ではありますね。

自分のために動いて、その結果がチームのバリューになる

質問に対して、常に曖昧にせず、明快に“自分の考え”を持っているObuyan選手。このインテリジェンスがあるからこそ、試合中のプレイにも裏付けがあるのでしょう

——最後に、予選もまだ続きますし、その先のプレイオフやPUACL2026 FINALSを見据えて、チームや個人として大切にしたい心構えをお聞かせください。

Obuyan選手 さっきの答えと被るかもしれないんですが、チームとしても個人としても……という意味で、「個人競技をした上で、結果がチームプレイになればいいな」と。そういうゲームをしたいな、というふうに僕個人は思っていて。

 味方をフォローしたり、「味方のために」という前提で動いたりすると、今は結構キツい環境が多い。自分のために動いて、その結果がチームのバリューになるっていうパターンの方が……“強い”というとちょっと違うかもしれないですが、うまくいくことが多い環境かな、と。

 とにかく僕たちは、今まで結構「チーム、チーム」で動いていたので。このあたりでバリューの出し方をもうちょっと変化させて、工夫をしていきたいなというふうに思っています。


 

 「打てば響く」という言葉のごとく、どの角度からの質問でも、理路整然かつよどみなく話してくれたObuyan選手。トップを走り続けるプロ選手ならではのインテリジェンスを感じるインタビューとなりました。

 インタビューで明かされた視点を踏まえてあらためて試合を振り返ることで、プレイの意味や大会の緊張感はより鮮明になるはず。選手たちが次にどのような選択を重ねていくのか、その行方も含めて今後の戦いを見届けたいですね。

過去記事アーカイブ

2026年
01月
2025年
10月
11月
12月