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GeForce RTX 50シリーズまとめ 第34回

NVIDIA Appにおけるプリセットの種類や設定方法もご紹介

いまさら聞けないNVIDIAのDLSSを最新の4.5までまるっと解説 もうドットバイドットの画質を超えている

2026年01月26日 15時30分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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DLSS 4.5

 NVIDIAはCES 2026にて「DLSS 4.5」(参考記事:画質向上&フレームレート6倍のDLSS 4.5にG-SYNC Pulsarディスプレーの発売など、NVIDIAのCES 2026発表まとめ)を発表した。これにより、GeForce RTX 20シリーズから最新のRTX 50シリーズのすべてに対応するDLSS、正確には“DLSS超解像”ことDLSS Super Resolutionがアップグレードされた(以降、DLSSとだけ記載した場合はDLSS Super Resolutionを指すものとする)。

 DLSSはAIを利用した超解像技術であるが、そのコアになる学習モデルは長らくCNN(畳み込みニューラルネットワーク)ベースのものが使用されてきた。それを2025年初頭にリリースしたDLSS 4において、トランスフォーマーベースの学習モデルを採用し、画質をCNNより向上させることに成功した(参考記事:RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説)。

 そして、DLSS 4.5では、学習モデルを第2世代トランスフォーマーベースに更新し、従来よりもゴーストやちらつきを抑え、アンチエイリアス処理もより高画質化することに成功した、とNVIDIAは謳っている。今年春に解禁となるMFG 6xモードも、この第2世代トランスフォーマーの開発で画質を向上させるという目的も前提にある。

 さらに、先日公開した「NVIDIA App」のバージョン11.0.6.379において、第2世代トランスフォーマーベースのDLSSを全RTXシリーズユーザーに開放した。であれば試してみるしかない。果たして、DLSS 4.5の第2世代トランスフォーマーでいかほどの違いが出るのか。しかし、その前にDLSSに関する知識を整理し、DLSS 4.5の設定方法を再確認しておこう。

そもそもDLSSとはどのような技術なのか?

 まずはDLSS、すなわちDeep Learning Super Samplingについて少しまとめておきたい。GeForce RTX 20シリーズにおいて、ゲームグラフィックを従来のラスタライズからレイトレーシングに移行させようとしたが、レイトレーシングの計算コストが問題になった。RTコアというレイトレーシング専用の演算ユニットを用意してもなお、レイトレーシングだけで画面を描画することは現実的とはいえないのだ。

 そこで、NVIDIAはゲームを低解像度でレンダリングしたあとに、画面解像度に合わせてアップスケールするというアプローチを採用した。低解像度でレンダリングすればGPUの負荷が下がり、レイトレーシングでもフレームレートが稼ぎやすくなるためだ。NVIDIAはここにAIという「魔法」を加え、DLSSが誕生した。

 ゲームの画質設定にあるDLSSのモードは、ゲームが最初に低解像度でレンダリングする際の解像度(内部解像度)を指定するためのもの。「クオリティー」を筆頭に「ウルトラパフォーマンス」まで4つのモードが存在する。各モードと内部解像度、ディスプレーに出力する解像度の関係は次の通りだ。

DLSS 4.5

DLSSには現在4つのモードがある。各モードによって、内部解像度とディスプレーに出力する解像度の比率が異なる。例えば、ウルトラパフォーマンスの場合、ディスプレーにフルHD(1920×1080ドット)で出力するときは、内部解像度が640×360ドットになる

 上記の通り、ディスプレーに4Kで出力する場合は、パフォーマンスで描画する場合はフルHDでレンダリングし、DLSSを利用して4Kにアップスケールすることになる。なお、モードはウルトラパフォーマンス、パフォーマンス、バランス、クオリティーの順に内部解像度が大きくなる。

 ちなみに、DLAA(Deep Learning Anti-Aliasing)は内部解像度を下げない特殊な設定だ。ゲームの描画が軽くてGPUパワーが余ってしまうときに、AIで高品質なアンチエイリアスをかけることができる。

DLSS 2で今のDLSSの基礎ができた

 NVIDIAはDLSSのアップスケール処理に従来の算術的な処理ではなく、ディープラーニングで訓練したAIモデルを利用し、それを専用ハード(Tensorコア)で実行するという実装を採用した。結果的にこれが英断だった。ただし、最初のDLSS 1(2019年)は単純な空間アップスケーラーで、ゲームごとに個別のトレーニングを必要とするなど欠点もあった。DLSSをいち早く採用した「Metro Exodus」や「BattleField V」といったゲームで細部のボケやにじみが出やすかった理由はこのためだ。

 そこで、DLSS 2(2020年)ではゲームエンジン側からモーションベクターや深度情報といったメタ情報も加味し、学習モデルをCNN(畳み込みニューラルネットワーク)に更新。前フレームの処理結果もフィードバックに採り入れるなど、より高度な処理に進化した。さらに、DLSS 2では学習モデルが汎用化され、ゲームごとの個別学習が不要になり、画質もパフォーマンス・バランス・クオリティーの3段階から選択可能に。ここからDLSSの採用例が加速することになる。

DLSS 4.5

DLSS 2において、フルHDでレンダリングした映像から4Kにアップスケールする際の処理の流れ。映像とモーションベクターのほかに、前フレームの高解像度な最終出力をフィードバックとして採り入れている。NVIDIAのスパコンでは同じシーンを超々高解像度(この図では16Kとある)でレンダリングし、それをお手本にニューラルネットワークをトレーニングする

 DLSS 2では、最初に低解像度でレンダリングするとディテールが失われやすいという問題にも対処。それは1フレームレンダリングするたびにカメラを「ほんのわずかにずらす」ジッター処理を加えるというものだ。ちなみに、このテクニックはTAAの時代から存在し、AMDのFSRやインテルのXeSSでも同様の処理が行われている。 

 ジッターを加えてカメラをずらすといっても、移動量は1ピクセル未満であるため画面上の画角に影響はない。CGの技法的には、ドット内部のサンプリングポイントを毎回変えるという話になる。このわずかな違いによって、毎フレーム少しずつ違った結果が得られるのだ。

 では、ジッターを付けたレンダリングと付けないレンダリングで結果はどう変わるのだろうか? かなり極端に単純化した図で恐縮だが、アイデアは以下のようになる。

DLSS 4.5

これが本来レンダリングしたい8x8ドットの絵としよう。これを4x4ドットで4フレームぶんレンダリングする。目を細めてこの図を遠くからぼんやりながめ、4×4でこの図の濃淡をどう表現するか考えてみよう

DLSS 4.5

まずはサンプリングポイントにジッターを付けず4x4ドットでレンダリングする。サンプリングポイントはどのフレームでもまったく同じ(この場合はドットの左上)である

DLSS 4.5

ジッターを付けずレンダリングされた4フレームから8x8の絵を再構成するとこうなる。本来中央には色の濃い領域がなければならないが、4フレームとも同じサンプリングポイントを使って、4x4でレンダリングしたことで情報が失われてしまった。単なる低解像度のレンダリング結果からは、同じ出力しか得られない

DLSS 4.5

では、サンプリングポイントにジッターを加えてみよう。4x4ドットを4フレームレンダリングする際、サンプリングポイントを微妙に変更しつつレンダリングすると、濃淡の異なる4x4ドットの絵が4枚出力される。実際の処理においては、このサンプリングポイントの位置をHaltonシーケンスと呼ばれる「一見乱数のようだが偏ることのないよう調整された疑似乱数」を利用して決定する

DLSS 4.5

ジッターを付けた4x4ドットの4フレームの情報から元の8x8ドットを再構成。今回の例では元絵と同じものが再現できた。ただし、現実のゲームグラフィックでは、ここまで完璧に再現されることはない

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