世界最大テックイベント「CES 2026」現地レポート 第22回
CES 2026内講演「NVIDIA Live」より
NVIDIAの講演で泣きそうになった。AIと人類の進歩、どこまで進む?
2026年01月07日 08時00分更新
AIが現実世界に直接的に干渉する世界
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、いつもの悠々とした口調で、「ロボティクスにとっての、ChatGPTの瞬間が到来した」と語った。
CES 2026で行われたNVIDIAの講演を見ながら、私は、これまでに感じたことのない種類の高揚感を覚えていた。胸の奥が静かに熱くなり、ふと涙が出そうになる。
その感情は、AIの進歩に対する純粋な驚きと、AIが世界に与える影響への大きな期待感、そして、すさまじい速度で変化する世界に対しての、少しの戸惑いを含んだものだったかもしれない。
今回NVIDIAが示したメッセージを要約するなら、「AIは、もう画面の中にとどまる存在ではなく、物理世界に直接的に干渉する存在へと、変わりはじめている」だろう。
これまでのAIは、基本的にデジタル空間の中で完結してきた。文章やコードを書く。画像や動画を生成する。プログラムを組む。デザインを整える。その活動領域は、あくまで「画面の中」に限られている。
しかし今回の基調講演でNVIDIAが全面に押し出した「フィジカルAI」の考え方は、その前提を超えている。
現実世界と仮想世界の相互干渉
NVIDIA CosmosやGR00Tといったモデル群は、ロボットを「自動的に動く機械」から、「状況に応じて判断し、行動できる存在」へと進化させることを目的としている。
現実世界を視覚的に捉える。物理法則や人の動きといった“現実のルール”を理解する。推論し、行動する。講演では、いくつかの具体的な事例とともに、AIが自律的なロボットや自動化システムを通じて、現実世界そのものに作用する様子が示された。
ただし、今回提示されたフィジカルAIは、「AIが現実世界に一方的に介入するようになった」という話ではない。“逆方向”も重要なのだ。
フィジカルAIを入力装置として取り込まれた物理法則、人や物の動きは、デジタルツインとして仮想空間に蓄積される。AIはその中で試行錯誤を繰り返し、失敗と成功のパターンを蓄積する。
そしてデジタルツインの仮想的な世界で得られた知識や判断は、AIロボットから、再び現実世界に出力されていく。
この、「相互に干渉し合って変化を積み重ねていく構造」が、今回NVIDIAが示したフィジカルAIの重要な特徴だ。
講演中、もうひとつ印象に残ったジェンスン・フアン氏の言葉がある。それは「世界(Universe)は情報(Information)だ」というものだ。
NVIDIAのフィジカルAIが示した現実と仮想の循環構造は、その言葉を、技術として具現化していく試みにも見える。

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