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「どの程度の被害を想定すべきか不明」「具体的な対策方法が不明」などの回答が多数

「富士山が噴火したらどうする?」その話題、会社で一度でも出たことありますか

2025年12月14日 12時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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 地震や台風といった自然災害への備えは、多くの企業にとって現実的な経営課題となっている。一方で、発生すれば社会や経済に広範な影響を及ぼすとされる「富士山の噴火」については、想定しづらいリスクとして後回しにされがちではないだろうか。企業の防災意識と現実の備えの間にある温度差は、数字として可視化されることで、よりはっきりと浮かび上がってくる。

 JX通信社は、国内企業の事業継続計画(BCP)に携わる担当者を対象に実施した調査の結果を発表した。今回の調査は2025年11月22日から23日にかけてインターネットで実施され、有効回答数は543件。

 本調査は富士山噴火に対する企業の防災意識と対策の現状を明らかにすることを目的としており、その結果、富士山噴火を事業継続上の「大きなリスク」あるいは「多少のリスク」と認識しているBCP関係者はおよそ6割に達する一方で、自社の対策が「十分にだと思う」と回答した割合はわずか5%にとどまることが明らかになった。

調査:JX通信社

 また、富士山噴火をBCPで想定している企業は13%にとどまり、多くの企業で具体的な噴火対策が進んでいない実態が示された。

調査:JX通信社

 対策が進まない理由として「どの程度の被害を想定すべきかわからない」「具体的な対策方法がわからない」といった意見が多く寄せられ、地震や風水害を優先しているとの回答も見られた。

調査:JX通信社

 富士山噴火によって懸念される影響としては物流網の停止、通信障害、交通網の麻痺、電力の途絶・不安定化などが挙がっており、サプライチェーンや社内外とのコミュニケーションにおよぼす影響に企業が懸念を示していることもわかった。

調査:JX通信社

企業側が対策として期待する外部支援は、被害状況を把握できる情報サービスや政府・自治体による被害想定の発信といった「情報」の提供に対するニーズが高い結果となった。

調査:JX通信社

 JX通信社は、これらの調査結果を受けて、富士山噴火への備えの基本と調査の詳細をまとめた特別レポート「BCP虎の巻 富士山噴火編」を無料公開するとともに、2026年1月に関連ウェビナーを共催することもあわせて発表している。

 富士山噴火は発生時期を正確に予測できない以上、「起きてから考える」ことが許されないリスクでもある。今回の調査結果は、企業の危機管理が知識や情報の不足によって立ち止まっている現状を映し出したものといえる。まずは情報に触れ、考えることから始める姿勢が、次の一歩につながるといえるだろう。

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