このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第213回

市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 12月6日~12月12日

生成AI導入企業の9割が「予想コスト超過」 原因は/富士山噴火に「十分な事業継続対策」わずか5%/AI検索とゼロクリックの実態、ほか

2025年12月15日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2025年12月6日~12月12日)は、生成AI/AIエージェントの本格導入で浮上する「想定以上のコスト」問題、多重下請け(過重下請け)とフリーランスITエンジニア、口コミで拡大する日程調整ツール市場、富士山噴火を想定できていない企業のBCP、検索サイトへの生成AI組み込みで増える「ゼロクリック」の実態、についてのデータを紹介します。

[AI] ほぼすべての生成AI導入組織が「想定コスト超過」、財務上の“死角”が発生(DataRobot、12月12日)
・生成AIを導入した組織の96%が「予想よりも高いコストが発生」
・コストの発生源が「ほとんど/まったく把握できない」組織が約7割
・ITスタッフの48%が生成AI/エージェント型AIに業務を費やしコスト急増

 エンタープライズ組織の意思決定者を対象としたグローバル調査より。生成AIを導入した組織の96%、またAIエージェントIを導入した組織の92%が、予想していたコストよりも実際のコストが「高い/はるかに高い」と回答した。さらに、そのコスト発生源が「ほとんど/まったく把握できない」とした組織が71%を占めるという、深刻な実態も明らかに。その結果、初期段階からAIの取り組みに「ガバナンス」や「コストの可視化」を取り入れている先進的組織の優位性がさらに高まり、それができていない組織では、AIエージェントの本番稼働への道のりが「財政的な地雷原」になると警告している。

 ⇒ PoC/試験導入段階では注目されにくく、本番稼働段階で表面化する、生成AI/AIエージェントの「コスト」の問題。今後、すでに対策ができている組織とできていない組織の間で、AIエージェントの導入推進における「格差」が広がると指摘しています。

[フリーランス][ビジネス] 3社以上をまたぐ“過重下請け構造”、ITフリーランス技術者の半数が経験(PE-BANK、12月12日)
・3社以上をまたぐ下請け構造を、多重下請けならぬ“過重下請け”と定義
・ITフリーランス技術者の半数、企業担当者の9割が“過重下請け”の受発注経験あり
・企業担当者の4人に1人は「発注先の体制に何社が関わっているか把握せず」

 外部発注経験のある企業担当者とITフリーランスエンジニアを対象に、3社以上をまたぐ“過重下請け構造”の実態を調べた。過重下請の受発注経験があると回答したのは、企業担当者の約90%、フリーランスエンジニアの49.5%。また、フリーランスエンジニアの52.5%が「依頼を受ける際、体制に関する情報を明示されない」、98.2%が「過度なマージンを取られていると感じた経験がある」と述べ、「過重下請け構造案件を受けたくない」としたエンジニアは87.0%に達した。

 ⇒ 2026年1月から中小受託取引適正化法(通称:取適法、旧称:下請法)が施行されますが、ここではIT業界を含む各業界の過重下請け(多重下請け)が問題視されています。IT業界健全化のために、透明性のある契約体制の整備が重要だと言えます。

依頼を受ける際に、「下請け階層(何次請けか)」「関係会社の数」などの体制に関する情報を明示されたか。52.5%が「明示されていない」(出典:PE-BANK)

過重下請け構造の案件では、ほぼすべてのフリーランスエンジニアが「過度なマージンを取られている」と感じている(出典:PE-BANK)

企業担当者側では、23%が「発注先の体制に何社が関わっているかあまり/まったく把握していない」(出典:PE-BANK)

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所