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AIプラットフォームOpenRouterが発表した最新レポートを見ると、誰でも自由に利用できる「オープンソースAI(ローカルAI)」の世界で、激しい勢力争いが起きていることがわかる。2024年11月から2025年11月までの1年間で、市場の構造は大きく変化した。DeepSeekという王者が支配していた領域は、いまや多数のプレーヤーがひしめく群雄割拠の戦場に変わっている。
2024年後半は明快だった。中国のAI企業DeepSeekの「DeepSeek V3」「DeepSeek R1」が市場を席巻し、一時は全トークン利用量の過半数を独占するほどの一強状態にあった。しかし2025年中盤から景色は一変した。11月現在、市場の25%以上を独占するモデルはもはや存在しない。
Qwen(Alibaba)などの競合が急速に伸張し、足場を固めたためだ。OpenAIが投入したオープンモデル「gpt-oss」シリーズや、中国Minimaxの「M2」、同じく中国MoonshotAIの「Kimi K2」といった新興勢力も躍進した。新モデルはリリースわずか数週間で利用を伸ばしており、オープンモデルの世界では、ユーザーがためらいなくモデルを乗り換えていることがわかる。
期間中のトークン総量で見れば、DeepSeekは依然として14.37兆トークンでトップにいるものの、Qwenが5.59兆、Metaが3.96兆と猛追しており、その差は急速に縮まっている。特にDeepSeek、Minimax、MoonshotAIなど、ランキング上位を中国発のスタートアップが占めている点も見逃せない。中国勢中心の「AI戦国時代」とも呼ぶべき、激動の時代が到来している。
開発者にとっては選択肢が広がる一方で、AI企業にとっては一瞬の停滞が命取りになる、過酷な環境が定着したといえそうだ。







