ネットワークの柔軟な構成を実現するSmart Home Master
SSIDの使い方でおもしろいのが「Smart Home Master」に対応していること。これは、特殊な設定をもつネットワークをSSIDごとに構築できる機能だ。先ほど、セットアップ手順中に作成した古いWi-Fi規格のSSID(IoTネットワーク)も、このSmart Home Masterの機能のひとつとなる。
例えば「ゲームネットワーク」では、設定時に高速なDNSサーバーを検索。このSSIDに接続した場合だけ、選んだDNSサーバーを使用するようになる。これにより、ゲームサーバーへの接続遅延が減らせるといった効果が期待できるわけだ。
「マルチリンクオペレーション(MLO)」はWi-Fi 7で導入された技術で、複数のバンドを使い分けるのではなく、同時に接続するというもの。GS-BE7200Xであれば、2.4GHzと5GHzを同時に使用した通信が可能となるため、高速化が期待できる。さらにWi-Fi 6までのように、バンドの切り替え中に通信が止まるといったことがなく、より安定した、シームレスな通信が可能になるのがメリットだ。
個人的に興味深かったのは「VPNネットワーク」。外出先から家のLANへと接続できるVPNサーバー機能だけでなく、Wi-Fiルーター自身がVPN接続してくれるクライアント機能まで備えているのだ。
例えば会社へのVPN接続を設定しておけば、毎回PCからVPN接続を行なう必要がなく、Wi-Fi接続先のSSIDを切り替えるだけで、プライベートと会社のネットワークを使い分けられるようになる。
また、SurfsharkやNordVPN、CyberGhostといったVPNサービスへの接続にも対応。VPNサービスがインターネットの脅威から守ってくれるため、より安全に使えるようになるのがメリットだ。しかも、このSSIDに接続したすべての機器がVPN経由での通信となるため、丸ごと守ってくれるというのがいいところ。このほか、VPNで接続元の国を変更できるため、日本から利用できない海外サービスを利用したい場合にも活躍してくれる。
これ以外には、利用時間を制限可能な「キッズネットワーク」が用意されている。子供たちに深夜はインターネット利用をさせたくない、といった場合に使うと便利な機能だ。
接続機器すべてのセキュリティを向上させる「AiProtection」
セキュリティ面で頼もしいのは、接続している機器すべてのセキュリティを高めてくれる「AiProtection」を搭載していること。これはセキュリティ対策ソフト大手のトレンドマイクロ社の技術を採用したもので、セキュリティ評価、悪質サイトブロック、脆弱性保護、感染デバイス検出/ブロックの4つの機能が搭載されている。しかも、サブスクリプション契約は不要で、誰でも利用できるというのだから驚きだ。
もちろん、ブラウザーにも保護機能があるし、Windowsであれば標準でMicrosoft Defenderがある。また、別途自分でセキュリティ対策ソフトを入れているという人もいるだろう。
だからこういったセキュリティ機能は必要ない……と判断するのは待って欲しい。いくらセキュリティ対策ソフトを使っていても、完璧なものは1つもない。必ずなんらかの穴があるもので、攻撃側はそのスキを突いてくる。
こういった場合でも、複数のセキュリティ対策が施されていれば、1つがダメでももう1つで止めてくれるわけだ。とくにWi-Fiルーターでセキュリティ保護機能が使えれば、接続している機器すべてが守られるため、感染した機器からLAN内へ広がっていくといった危険も小さくなる。






