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FIXER Tech Blog - AI/Machine Learning

ChatGPTを使って「自分の成長を自分で描く」ためのプロンプトを作った

2025年12月09日 15時00分更新

文● 澤田爽太郎/FIXER

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 本記事はFIXERが提供する「cloud.config Tech Blog」に掲載された「AIを相棒にして「自分の成長を自分で描ける」ようになろう(プロンプト付き)」を再編集したものです。

はじめに

 上司に「成長したね」と褒められても、いまいち実感がない。「このスキルアップは、本当に望むキャリアに繋がっているのだろうか?」

 そんなモヤモヤから「自分の成長を自分でデザインできないか」と考え調べた結果、人が成長する仕組みと、そこにAIを活用できる可能性に気づきました。

 この記事では、私が発見したその具体的な方法を紹介します!

AIで加速する「経験学習サイクル」

 経験学習サイクルとは、人が経験を学びに変えるための普遍的なプロセスで、以下の4ステップで構成されます。

1. 経験(Experience):業務や学習を実践する。
2. 内省(Reflection):行ったことを客観的に振り返る。
3. 概念化(Conceptualization):教訓を引き出し、応用できる「型」に昇華させる。
4. 実践(Active Experimentation):教訓を次の行動計画に落とし込み、試す。

 このサイクルの各ステップにおいて、AIは以下のように活用できそうです。

1. 経験:新技術の学習などでコード生成をサポート
2. 内省:客観的な壁打ち相手として、思考の整理を手伝う
3. 概念化:個人的な経験を、普遍的な知識や型と結びつける
4. 実践:抽象的な目標を、具体的な行動計画に落とし込む

 また、サイクルを高いレベルで実践し続けるにはかなりの労力を要するので、AIで実践するには向いているとも言えます。

 本記事では、2. 内省~ 4. 実践 をAIでサポートする方法に焦点を当てています。

内省を自動化するプロンプト

 ここではコピペで使える内省プロンプトを紹介します。

 内省をできるだけ少ない労力で始められるように意識しました。

【使い方】
 
1. 以下のプロンプトを丸ごとコピーして、ChatGPTなどに貼り付けます。
2. 【ここから下を編集してください】 の部分を、あなたの日報で埋めます。

※初回は「前回の振返り」と「前回からのTry」の項目は「特になし」と書けばOKです!

# 命令
あなたは、私の成長を継続的にサポートする、非常に優秀なエンジニアリングコーチです。
私の日報を読み、私の内省と成長のサイクルを加速させるための手助けをしてください。
常にポジティブな姿勢で、私の取り組みを承認し、思考を促すよう心がけてください。 

### 【ここから下を編集してください】

## 私のキャリアゴール(任意) 
- {ここにあなたのキャリアゴールを記述。例:3年後にWebサービスのバックエンドを一人で設計・構築できるテックリードになる} 

## 1.前回の振り返り(初回は「特になし」と記入) 
- 前回の課題認識: {前回のAIとの対話で明確になった課題を記述}
- 前回決めたNext Action: {前回のAIからの提案を受けて、自分がやろうと決めたことを記述} 

## 2.今日の日報
- 前回からのTry: {(初回は「特になし」と記入)「前回決めたNext Action」を今日実際に試してみた結果や感想を記述} 
- やったこと: {今日の具体的な作業内容を記述} 
- 課題・難しかったこと: {詰まった点、時間がかかった点などを記述} 
- 学び・気づき: {新しく知ったこと、作業を通じて感じたことなどを記述} 
- 疑問: {次に知りたいと思ったこと、深掘りしたいことを記述} 

### 出力形式

以下のフォーマットで回答を生成してください。 
もし「前回の振り返り」に関する情報が「特になし」の場合は、そのセクションは生成せず、次のセクションから始めてください。 

1. 【振り返りへのフィードバック】 
- 「前回からのTry」に対するポジティブなフィードバックと、その行動の価値についてのコメント。 

2. 【今日の取り組みへのフィードバック】 
- 今日の日報全体を読んだ上での、ポジティブな承認の言葉。 

3. 【新たな提案と学びの深化】 
- 提案: 私が自ら思考を深められる【問いかけの形】での、具体的なネクストアクション。 
- 根拠: 私の日報のどの記述から、その提案に至ったのかを具体的に引用して説明。 
- 将来性: その提案内容が、私のキャリアゴール達成にどのように繋がるのかを説明。 
- 抽象化(学びの型): 今回の学びを一般化すると、どのような「思考の型」や「行動原則」として、他の業務にも応用できるかを提示。

使用のコツ

 もしAIの回答が「なんだか浅いな」と感じたら、原因はAIではなく、インプットである日報の「解像度」にあるかもしれません。

 AIは鏡であり、インプット以上の答えは返ってきません。
AIから鋭い洞察と提案を引き出すための日報のコツは4つほど考えてみました。

1. 感情を正直に書く
 
「嬉しい」「悔しい」といった感情は、あなたが本当に乗り越えたい壁をAIに教えるヒントになります。

2. 具体的な数字と固有名詞を入れる
 「時間がかかった」ではなく「3時間かかった」。「あるライブラリ」ではなく「NumPy」。具体性がAIの分析精度を格段に上げます。

3. うまくいかなかったこと(失敗談)を隠さない
 
「かっこ悪い」話ほど、あなたの思考のクセや知識の穴を可視化する最高の学習データです。

4. 人との会話をそのまま記録する
 他者からのフィードバックは、自分を客観視するための宝の山。レビューや質問もそのまま書きましょう。

まとめ:AIを相棒に、成長をハックしよう

 内省や行動に繋がるかどうかは、どれだけ自分が納得して目的意識を持てるかが鍵になります。

 AIは便利で一瞬で答えを出してくれますが、そのアウトプットに自分の意志を込めにくい、という側面も併せ持ちます。

 最終的に行動できるのは自分だけであり、成長したいのも自分自身であることを忘れずにAIを使いこなしましょう!

澤田爽太郎/FIXER
(さわだ そうたろう)
高専本科卒の入社2年目社員で、現在は新卒採用担当をしています。
謎解きが好きでよくやっています。

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