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富士フィルム「X-T30 III」
富士フイルムの快進撃、外観も画質もエモいデジタル一眼
2025年12月14日 17時00分更新
まずは富士フイルムのX-T30シリーズの立ち位置から。同社の主力モデルは「X-T5」で、その弟分が「X-T50」、さらにその弟分が「X-T30」シリーズといった形です。X-T30 IIIは手に取りやすい価格としつつ、X-T50で採用されたフィルムシミュレーションダイヤルが搭載されています。
低価格機とはいえ、性能面も抜かりありません。2610万画素のAPS-Cセンサーに最新プロセッサーを組み合わせたことで、AFは驚くほどキビキビ。人物の目も動物の顔も素早く捉え、スナップでも旅行でも「あ、今撮りたい」という瞬間をしっかり形にしてくれます。
レトロっぽい外観なのに、動作は思いきり現代的。そのギャップがまた心地よく、富士フイルムが“カメラ好きのツボ”を押さえているのがよく分かります。
気軽に持ち出せる軽さとサイズ感、フィルムライクな画作り、そしてデザインとしての魅力。この3つが一緒に揃っているからこそ、X-T30 IIIは売れそうだなと思います。
X-T30 IIIを購入する3つのメリット
ポイント(1)エモいレトロデザインに、これまたエモいフィルムシミュレーション
X-T30 IIIの魅力といえば、やはり外観でしょう。クラシックカメラを思わせる控えめな装飾、質感のあるダイヤル、フロントの張り革パターン。こうした細部のおかげで、手にした瞬間に写真を撮る気持ちが自然と湧いてきます。
もうひとつの主役が「フィルムシミュレーション」です。ボディ上部のダイヤルで気軽に切り替えられるのがとても良く、レンズキャップを外す前に「今日はどの色で撮ろうかな」と考えるのが習慣になります。
写ルンですっぽい素朴な色に仕上がる「CLASSIC Neg.」、少しノスタルジックでフィルムらしいハイライトの転び方をする「NOSTALGIC Neg.」、富士らしい鮮烈な発色が得られる「Velvia」。この3つは特に日常スナップで使いやすく、作例を並べるとまるで別のカメラで撮ったかのように色味が変わります。
そして、X-T30 IIIは肩の力を抜いて撮れるのがいいところ。ボディは樹脂パーツが多めで、上位機にあるようなガッシリした高級感は控えめですが、逆にその軽さと気軽さが「写真を撮るハードル」を下げてくれます。
YouTubeで富士フィルム「X-T30 III」のレビュー動画を見る
ポイント(2) 小型軽量で持ち運びラク。本格的に撮りたいときはレンズ交換で化ける
X-T30 IIIはとにかく軽いです。約378gという質量は、ミラーレス一眼としては軽量級で、実際に使うと数字以上に軽快さを感じます。
肩掛けストラップで一日歩いても疲れにくく、カバンの隅にポンと入れて持ち歩ける感覚は「スマホ以上、一眼レフ未満」というちょうどいい距離感です。「今日は撮るつもりなかったけど、持ってきてよかったな」と思える場面が多くなる感じ。
軽量だからといって「ゆるいカメラ」というわけではないです。Xマウントレンズを付け替えるだけでキャラクターが一気に変化。たとえば35mm F1.4の単焦点を付ければ、ドラマチックなポートレートが撮れますし、小型のズームレンズを付ければ旅行の万能機に早変わり。機材を替えるだけで撮影スタイルが変えられるのは、コンパクト機では味わえない体験です。
富士フイルムのレンズラインアップは価格帯も種類も幅広く、初心者が最初に選ぶレンズから、プロが使う大口径レンズまで選択肢がとても豊富。しかもどれも描写が安定していて、色のりが良く、フィルムシミュレーションとの相性も抜群です。
ポイント(3) カメラらしく撮る楽しさが詰まっている
X-T30 IIIは、デザインだけでなく操作性にもカメラとしての楽しさがしっかり詰まっています。天面にはシャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルがあり、数字を指先で回しながら撮影設定を調整する感覚はフィルムカメラそのもの。
デジタル一眼の多くはボタンと電子操作に頼りがちですが、X-T30 IIIは「絞り・シャッター」を機械的に扱う感触を残しているので、写真の基礎を楽しみながら学べる良さがあります。
ファインダーの位置がレンズの真上にあるのも重要です。最近のミラーレスには左寄りのEVFも多いですが、中心にあると構えたときのバランスが良く、撮っている姿勢も安定します。特にスナップでは、ファインダーを覗いた瞬間に「写真の時間が始まる」感覚があって、撮る没入感が一段上がります。
背面モニターはチルト式で、腰の位置からのローアングル撮影や、ちょっと高い位置からの俯瞰ショットが簡単。街中でのスナップ、大きな被写体の撮影、人混みの中など、シーンによって視点を変えられるのは大きなメリットです。
購入時に注意するべき側面
ポイント(1) ボディ内手ぶれ補正がない
X-T30 IIIの弱点として最初に挙げられるのが、ボディ内手ぶれ補正(IBIS)がない点です。レンズ側に手ぶれ補正が内蔵されていれば問題ありませんが、単焦点レンズや古いレンズを使うときは、どうしてもシャッタースピードを意識する必要が出てきます。
もちろん、富士フイルムの手ぶれ補正付きレンズは性能が高く、普段使いではそこまで大きな問題にはならない場合も多いです。ただ「レンズを選ばず快適に撮りたい」「暗所でも失敗したくない」と考える方にとっては、X-S20などIBIS搭載モデルが候補に入ることもあるかもしれません。
「ゆるく撮る」シーンでは気になりませんが、「毎日夜も撮りたい」「単焦点で遊びたい」という人は、少し意識しておいたほうが安心です。
ポイント(2) 防塵防滴ではない。ヘビーデューティー用途には向かない
X-T30 IIIは軽さとコンパクトさを優先した設計のため、ボディは防塵防滴仕様ではありません。雨の日の撮影や砂埃の立つ環境、アウトドアでのハードな使用を想定している場合は、あまり向いていないのが正直なところです。
街歩きや日常スナップでは全く問題ありませんが、キャンプや登山、旅行中の突然の雨など、自然の中で撮影する機会が多い人は注意が必要です。
ただ、X-T30 IIIは“気軽に持ち出す日常カメラ”としての役割が強いため、この仕様はある意味で割り切りともいえます。大きさや軽さとトレードオフになっている点を理解して選ぶのが良さそう。
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