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国内ユーザー450万人超えのGitHub、データレジリエンシーでクラウド移行を支援

ドコモグループの「GitHub Copilot」実践知 日々3万件のコード提案で採用率は25%を推移

2025年12月03日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 日本におけるGitHubのユーザー数が、ここ1年で100万人も急増し、450万人を突破した。国別のユーザー数ランキングでも、日本は9位から6位へとランクアップしている状況だ。

 コーディングエージェントに進化した「GitHub Copilot」も好調である。グローバルのユーザー数は2600万人を越え、GitHub Japanの日本・韓国エンタープライズ担当 シニアディレクターである角田賢治氏は、「数多くあるソフトウェア開発ツールの中でも、まったく新しい分野を創出したツール」と強調する。

 同社が2025年11月26日に開催した説明会では、GitHub Copilotの国内ユーザー企業としてNTTドコモグループ(以下ドコモグループ)が活用事例を披露した他、コーディングエージェントを統合する「Agent HQ」構想や、国内のデータレジデンシー対応について紹介された。

GitHub Japan 日本・韓国エンタープライズ担当 シニアディレクター 角田賢治氏

GitHub・GitHub Copilotを組織利用するドコモグループの実践知

 説明会では、ドコモグループのクラウド推進を担う「ドコモ CCoE」のリーダーを務める森谷優貴氏がゲスト登壇。同組織では、パブリッククラウドやSaaSを、グループ全体で安全的に利用し、統合管理するための環境を整備している。グループの共通基盤として利用するSaaSのひとつが、GitHubおよびGitHub Copilotだ。

NTTドコモ R&Dイノベーション本部 サービスイノベーション部 クラウドソリューション担当部長 博士(学術) 森谷優貴氏

 ドコモグループでは、2021年から企業向けの「GitHub Enterprise Cloud」を利用している。現時点でのユーザー数は6334名(2025年11月時点)で、ドコモグループ社員が63.4%、共同開発をする委託先のユーザーが36.6%を占める。

 管理・運用においては、特別な理由がない限り、グループ共用のOrganizationを利用する方針をとり、リポジトリもInternalを推奨している。こうすることで、複数のユーザーが同じ機能のコードを書いてしまう“車輪の再発明”を防ぎ、インナーソース(InnerSource)文化の醸成にもつながるという。また、管理面でも、一貫したガバナンスが利かせられるのはもちろん、管理・運用の一元化や処理の自動化によって運用コストを削減できる。

 現在、全体の約3分の2のユーザーが共用Organizationを利用しており、リポジトリの90%がここにある。そのほかに、特殊な要件に対応するための小規模な個別Organizationも6つある。「上手く使い分けると共に、ユーザーのメリットを最大化するような運用管理にしている」(森谷氏)

ドコモグループのGitHub利用状況

 ドコモグループでは、「GitHub Copilot Business」を2023年3月に導入した。当初からグループ全体での活用を推進しており、現在は全ユーザーの6割程度(3647名)が利用中だ。

ドコモグループのGitHub Copilot利用状況

 直近では、毎日1000名程度がアクティブであり、主に対話型の「Ask」モードと、コーディングを自律的に任せる「Agent」モードが利用されている。「最近はAgentモードが非常に使われている」と森谷氏。利用されているAIモデルは、「Cloud Sonnet 4」が約半数(45.8%)となり、2番目に多い「GPT-4.1」は、Askモードでの活用が多くなっている。

ドコモグループのGitHub Copilot利用状況(モード)

ドコモグループのGitHub Copilot利用状況(モデル)

 GitHub Copilotは、顧客向けサービスから社内システムまで、広範な開発で利用されているという。注目すべきは、GitHub Copilotが提案したコードの採用率だ。直近1か月では、毎日3万件強のコード提案のうち、約25%が採用されているという。

ドコモグループのGitHub Copilot利用状況(コード)

 ここからは、ドコモグループにおける、GitHub利用を最適化するための取り組みを紹介する。

 ひとつ目は、「ユーザー管理」だ。ライセンスの無駄をなくすために、一定期間利用がないユーザーを削除している。具体的には、過去3か月GitHubおよびGitHub Copilotの利用のないユーザーをリスト化して、月単位で削除する仕組みで運用する。

GitHub利用最適化の施策(ユーザー管理)

 2つ目は、「利用状況の可視化」だ。ユーザー全員の利用状況をダッシュボードとして公開している。管理職や管理部門だけではなく、ユーザーも自身の状況を把握でき、GitHub Actionsなどの従量課金サービスのユーザーや上述の削除対象ユーザーも確認可能だ。

 3つ目は、「ナレッジ集約」だ。問い合わせはZendeskに集約しているのに加え、チケット(問い合わせ)を社内公開。チケットの内容を検索できるようにすることで、ユーザーの自己解決を促している。

GitHub利用最適化の施策(ナレッジ集約)

 森谷氏は、GitHub Japanとも連携しつつ、今後も最新技術の利用とガバナンス・セキュリティの両立を目指していくと語った。

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