利用する子供の6割が「わからないとき、まずAIに聞く」
小学生の約4割が生成AIを“すでに使っている”と判明 AIネイティブ世代が本格到来
2025年11月28日 12時00分更新

「ChatGPT」の登場からまもなく3年。この間、生成AIは急速に一般家庭へと広がり、子供たちの学習や生活にも身近な存在となりつつある。宿題の調べ物から自由研究のアイデア出し、さらには日々のちょっとした相談ごとまで、大人が頼っていた「便利な相棒」が、いまや小学生の手のひらの中にいる。
ベネッセコーポレーションは11月21日、「生成AIの利用に関する意識調査」の最新結果を発表した。
同社が全国の小学3〜6年生とその保護者1032組を対象として実施したもので、小学生の「生成AI」に対する認知率(「知っている」「聞いたことがある」)が74.7%に達し、2023年からおよそ26ポイント上昇したことが明らかになった。

調査によると、小学生のうち「生成AIを知っている」と回答した層(全体の45.9%)のうち、実際に利用経験がある子供の割合は80%を超えた。この調査に回答した小学生のおよそ4割が生成AIの利用経験があることになる。
生成AIはすでに多くの家庭で“知るだけのもの”から“使うもの”へと変化し、習慣化の段階にあることが見て取れる。

家庭内でのAI利用環境を見ると、もっとも多いのは「保護者のスマホやPCなどのデバイスを使って子供自身が使う」というケースであり、次いで「子供自身が自分のスマホ・PCで使う」という形態が続いた。

ただし、「保護者が子供の代わりに調べる」は少数にとどまっており、子供自身が能動的に生成AIを使っている家庭が主流になっていることが示された。
しかしながら、家庭で「生成AIの使い方について話したことがある」とする家庭はおよそ5割にとどまり、2023年時点のおよそ4割からやや増加にとどまっている。

AI利用は広がりつつあるものの、家庭でのルールづくりや親子間の対話の整備はまだ十分とはいえない状況である。
また、保護者のおよそ6割が子供の生成AI利用によって「情報収集力の向上」「思考・表現の広がり」といったポジティブな変化を感じている一方で、およそ半数は「自分で考える機会の減少」といったネガティブな変化を懸念している。生成AI利用の可能性と同時に、その弊害についても家庭内で意識が分かれているという実態が浮き彫りになった。

子供の側では、生成AIを「楽しい」「安心する」と感じる利用者が半数を超え、さらに「わからないことがあったら、人に聞く前にAIに聞く」と答える子供がおよそ6割にのぼった。

「AIの回答が間違っていたと思った経験がある」と答える子供も同じくおよそ6割おり、生成AIに対する親しみとともに、誤りへの気づきやリテラシーの芽生えも一部に見られた。

学校で実際に生成AIを活用した経験があると回答した小学生はおよそ4割。授業や宿題でのAI利用は一定の広がりを見せつつあり、家庭だけではなく学校現場への生成AIの定着も進んできているようだ。

今回の調査結果を受け、ベネッセは「生成AIはこの3年間で小学生・家庭の間に深く浸透し、利用が“当たり前”になった」と総括。
一方で、「利用する上でのルールづくりや親子の対話は十分に整っておらず、『どう効果的に使うか』という家庭の準備は依然として追いついていない」と危機感を示している。
生成AIの普及から日常化へと移る中で、子供と保護者、そして教育現場がいかに新しいテクノロジーと向き合い、育ちの場をデザインしていくか。今後は、家庭と学校の双方で、生成AIの利便性だけでなくリスクを含めて捉えつつ、人間らしい思考や表現力の育成をどう両立させるかが課題となるだろう。








