なにかと手間のかかる年度末の確定申告。個人事業者やフリーランス、副業収入のある方々にとって憂鬱なこの確定申告が、AI確定申告の登場で大きく変わりそうだ。「『確定申告やっておいて』とプロンプトを書けば、作業が終了」というレベルまでは至らないが、AIを活用すれば作業の効率は間違いなく上がる。
現状では、ChatGPTやClaudeなどの汎用AIを使って、レシートの仕訳を効率化したり、わからないことを聞くという方法が挙げられる。詳細は柳谷智宣氏のAI連載「確定申告をChatGPTにアシストさせる 面倒な仕分けも楽々時短、節税にも効果的。確定申告は来年2月16日から!」を読んでもらいたいが、法令や制度の改正についてもフォローしてくれるので、使わない手はない。
SaaSへの実装も進んでいる。昨日はマネーフォワードはAIネイティブの『マネーフォワード AI確定申告』(β版)の提供開始を発表した(関連記事:確定申告をAIがやってくれる時代に! 領収書をアップしたら申告内容までそのまま作ってくれる)。これまでの「オンラインで完結」といったメリットに加え、AIエージェントが自動仕訳を行なうことで、最終的には「AIが申告内容を作成し、ユーザーはチェックと提出のみ」というレベルを目指す。「SaaS is Dead」が叫ばれる昨今だが、ユーザーの課題に真摯に向き合い、構造化したーデータを持ったSaaSにAIをきちんと組み込めば、迅速に価値に結びつく好例と言える。
一方で、レシートや領収書の画像を偽造といったAIの不正利用は、今後は深刻になっていきそう。また、AIに任せることで、人のチェックがおそろかになる危険性もある。来年以降、AIを利用する側のリテラシー醸成や、AIプラットフォームやSaaS側での不正利用対策は大きな課題になってくるはずだ。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。

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