OT・IoT環境向けの各種センサーも機能拡充
三菱電機が買収のNozomi Networks いまだ足踏みの国内OTセキュリティ市場に攻勢へ
2025年11月26日 08時00分更新
2025年9月、三菱電機による買収が発表されたNozomi Networks。2013年にスイスで創業した(現在の本社は米国サンフランシスコ)OT・IoTセキュリティ企業であり、重要インフラや製造業を中心に、脅威検知やネットワーク可視化のソリューションを展開してきた。買収完了後には、三菱電機の完全子会社として事業運営する。
Nozomi Networksは、2025年11月25日、国内事業戦略と最新のOT・IoTセキュリティ機能に関する説明会を開催。日本担当カントリーマネージャーである芦矢悠司氏は、「今回の買収劇に伴い日本への投資が加速している」と語った。
いまだ多くの企業が足踏みする日本の「OTセキュリティ」に攻勢
Nozomi Networksは、米ガートナーが2025年に新設した「CPS Protection Platforms(サイバーフィジカルシステム保護プラットフォーム)」のマジック・クアドラントにおいて、「リーダー」と位置づけられている。ClarotyやArmis、Dragosといったセキュリティ企業も同様だが、「継続してビジネス展開してきた関係上、国内でのシェアはNozomi Networksが頭一つ抜け出ている」(芦矢氏)という。
2025年9月、そのNozomi Networksを、三菱電機が8億8300万ドル(約1300億円)で買収することを発表した。これは、OT・IoTセキュリティ企業における過去最大規模の買収であり、三菱電機にとっても過去最大の買収額になるという。買収完了は年明け早々を予定しており、Nozomi Networksは、三菱電機の完全子会社として独立して事業を継続する。
三菱電機側の買収の狙いは、OTセキュリティ事業を強化すること、そして、データ活用を通じてビジネスを創出するデジタル基盤「Serendie(セレンディ)」を強化することにある。
芦矢氏は「私見」だと前置きした上で、「過去の出資においても、三菱電機のPLC(Programmable Logic Controller)に我々のセンサーを載せる共同開発の実績もある。こうした連携が加速して、本当の意味でOEM製品が生まれることを期待している。三菱電機のコアとなるファクトリーオートメーションに、我々が付加価値として入り込むことも考えられる」と語る。
加えて、Nozomi Networksでは、買収を契機に日本への投資を加速させていく意向だ。現在の6名体制を年内には8名~9名へと増強。「三菱電機のビジネスの主眼は国内での商取引となるため、おのずと体制強化が求められる」(芦矢氏)
さらに、マカフィーやPTCジャパンなどで要職を務め、OTセキュリティの知見を有する小笠原誠氏をアドバイザーとして迎えている。
ガートナーがマジック・クアドラントの部門を新設するなど、グローバルではOTセキュリティ市場が形成されてきたという段階だ。一方、芦矢氏は日本市場について、「OTセキュリティは『投資ではなくコスト』として捉えられているのは、変わらない。ひとつひとつの案件も欧米諸国と比べると小規模。市場は盛り上がっているが、ほとんどの企業が未着手の状態」と指摘する。
ただ、同社の国内ユーザーは100社以上に達し、売上規模も伸びてきているという。三菱電機の買収をドライバーに、日本市場のOTセキュリティを拡大していくと意気込みを語った。










