ブース内でAV over IPデモ環境を構築、インテグレーター向けセミナーも実施
音響だけでなく「AV over IP」ネットワークも注目! ヤマハのInter BEE出展
千葉・幕張メッセで開催中の、メディア&エンターテインメント産業向けの総合展示会「Inter BEE 2025」(会期:11月19日~21日)。
ヤマハのブースでは、コンサートホールなどで使われるプロ仕様の音響機器と並んで、オフィスや商業施設、店舗などで導入される音声/映像のIPネットワーク伝送技術「AV over IP」のソリューションも展示されている。最新のAV over IP対応ネットワークスイッチを中心に据え、さまざまなパートナー企業の映像機器とも連携させたデモ展示が見られる。
パートナー製映像機器を組み合わせてAV over IPのデモ展示環境を構成
ヤマハでは、古くからコンサートホールやアリーナ、劇場、市民会館といった施設向けの業務用音響機器を開発、製造、提供している。近年では、オーディオのIP伝送プロトコル「Dante」に対応したオーディオミキサー、パワーアンプといった製品もラインアップしており、グループ会社のヤマハサウンドシステムを通じて、国内のさまざまな施設に合わせた音響設備の設計、施工も手がけてきた。
また、会議室向けの統合音響システムソリューション「ADECIA」も展開している。こちらもDante対応のシグナルプロセッサーを中心に、卓上マイクやシーリングマイク、スピーカーの間をIPネットワークで接続できる。
このように“Audio over IP”分野ではすでに実績を持つヤマハだが、その一方で、映像(Visual)系の機器は開発していない。そこで、SDVoEアライアンスなど映像系IP伝送規格の標準化団体に加盟し、ネットワーク機器における各標準規格への対応を進めながら、映像系機器メーカーとのパートナー連携も図っている。
今回、ヤマハブース内では、ヤマハの最新ネットワークスイッチ「SWX3220/2320シリーズ」と、複数パートナーの映像伝送機器(エンコーダー/デコーダー)を接続したAV over IPのソリューションデモを展示している。PCやPTZカメラが出力した映像を、SDVoEやNDI、Dante AVなどに変換してIPネットワークで伝送し、6面ディスプレイ構成のビデオウォールに表示させるものだ。
AV over IPのメリットの1つが「音声も映像もすべて1つのIPネットワークで伝送できる」点だ。特に、これまで音声/映像それぞれに複数種類のケーブルを敷設する必要があったものが、Ethernetケーブルひとつに簡素化されること、施設内で長距離の伝送も簡単に実現できることなどは、設計や施工を大幅に効率化する。
さらに、音声/映像ソースとその出力先をソフトウェア的にコントロールできるため、柔軟な運用が可能になるメリットもある。従来は、映像を画面分割/画面統合したりする場合はマトリクススイッチャーなどのハードウェアを導入する必要があったが、その必要もなく、大きなコスト削減が見込める。
ただし、業務用音声/映像設備のインテグレーター(導入事業者)が、IPネットワークの取り扱いに慣れておらず、それが国内でのAV over IPの普及のハードルになっている側面もある。そこでヤマハでは、AV over IP向けのスイッチ製品において、簡単に設定や運用監視ができる仕組みを取り入れ、この動きを加速させようとしている。
ちなみに今回、ヤマハブース内のAV over IPデモ環境を設計、構築したのも、ふだんはネットワーク機器ではなく音響機器を手がけている社員だったという。構築前はネットワーク的なトラブルが不安だったが、スイッチのGUI操作だけで接続機器(プロトコル)に応じた一括設定ができる、ネットワーク構成や接続機器の一覧、トラフィックの状態などもGUIでリアルタイムに確認できるといったSWX-3220/SWX2320スイッチの特徴があるため、大きなトラブルもなく簡単に構築できたと話した。









