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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第321回

10万円前後のMacBook その存在は“ワクワク”か、“退屈”か

2025年11月19日 07時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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低価格Mac、投入する目的は

 このモデルは、学生・ライトユーザー・法人・公共調達市場を狙う目的だと考えられます。

 すでに十分に高速になったiPhone向けのプロセッサを活用し、比較的軽いなタスク(といっても簡単な動画編集含む)、AIタスクを実現。

 しかも長時間バッテリーを両立することで、十分な付加価値を発揮できる製品に仕上がると踏んでいるのではないでしょうか。

 この価格帯への進出によって、Appleのこれまで守ってきた「プレミアム価格帯中心」からの戦略転換と言えます。

 そもそも、低価格帯のコンピュータとして企業や教育機関への導入に活用されてきたのは、タブレット型デバイスのiPadであり、iPadに任せてきた市場でした。

 しかし全体的な処理性能の底上げが続き、500ドル以下でも十分な性能を発揮するパソコンが実現するようになって久しい中、あくまでタブレットであるiPadでは、荷が重くなってきた、という判断が働いていたのかもしれません。

バカ売れのMacBook Airにたたみかける?

 では、現状のMacBook Airでは不足があるのでしょうか。

 そもそも、2025年7月〜9月期を見ると、Macは売上高で前年同期比12%増と、非常に好調でした。その主因がMacBook Airと言われており、いわゆる米国などの新学期シーズン(Back to school)のタイミングで強調だったと考えられます。

 とくにAppleシリコンになってからのMacは性能も高く、バッテリーの充電頻度も下がることから耐久性も増し、買い換え周期は延びていくことが考えられます。つまり2026年に向けて反動が大きくなることも予測されます。

 そうした中で、MacBook Airより価格が安いデバイスを投入することで、まだMacがリーチしていない層を取り込んでいくことを計画しているのかもしれません。

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