つなぐ旅編集部が実際に東日本の市町村を訪れて、「ワクワクする」シーンを体験レポート。今回は青森県八戸市の旅の様子をお届けします!
初めて訪れる八戸市。実はユネスコ世界文化遺産の「北海道・北東北の縄文遺跡群」のうち、2つの遺跡が八戸市にあるんです。レアな縄文時代の名残を見て、八戸市民に親しまれているラーメンを食べてきました。
(リゾート編はこちらから)
改札前の謎の像はいったい…?
八戸へ向かう新幹線はほぼ満員。でも多くの人が仙台で降りたので、そこから先の車内はゆったりと過ごすことができました。帰省なのか旅行なのか、八戸駅で下車したのは私服姿の方が多かったです。
体育すわりをしているみたいな国宝の土偶が超かわいい
まず私が向かったのは「是川縄文館」。ここではユネスコ世界文化遺産の「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つ、是川石器時代遺跡から出土した土器や土偶などを展示しています。歴史に詳しいわけではないのですが、私は紀元前の人類が残した遺跡や遺物が好きなんです。「当時こんなすごい技術があったなんて!」とロマンを感じるんですよね。
一王寺遺跡、堀田遺跡、中居遺跡の3つをまとめて是川石器時代遺跡と呼んでいます。なかでも、中居遺跡からたくさん見つかったのが、漆塗り製品。耐久、耐水、防腐性が増すうえに、塗り重ねるほど強度が増すのが特徴です。漆器ってなんとなく仏教が広まった奈良時代頃に登場したものだと思っていたので、そんな昔からあったのかと驚きました。
出土したのは器ばかりではありません。道具や土偶なども多く、これがまたずっと見ていられるほどバラエティ豊かなんです。
きのこ形土製品は飾りに使われていたのかな…と思ってちょっと調べたところ、「食用のきのこの見本として使われていたのでは」という説があるよう。スタンプ形土製品はよく分かりませんでしたが、土器などに模様を付ける用でしょうか
学芸員の佐藤ちひろさんによると、土偶にも「流行の顔」があるのだそう。「土偶というと一般的に、目元が楕円で一文字の線が入った遮光器土偶をイメージされる方が多いと思いますが、その多くが北東北で見つかっています。でも数は少ないですが、新潟や関東・近畿地方でも出土しているんですよ」と佐藤さん。分かりやすく言うと、北東北を訪れた縄文人が「この土偶のデザインいいね! うちでも作ろう!」と持ち帰ったり、地元でまねしたものを作ったりしたため全国各地から出土していると考えられるのだとか。目が大きいところが良かったのでしょうか。おもしろい。
見どころは国宝の「合掌土偶」。八戸駅構内にあったのもこちらです。まるで体育すわりをしているようなデザインで、これがまたかわいいんですよ。私が是川縄文館に行ったタイミングでは県外の博物館に貸し出し中だったため、レプリカが展示されていました。
展示室の外には触ってもOKなレプリカがありました。持ってみるとめちゃくちゃ重いし、展示で見てイメージしていたサイズより大きい! 考えてみれば中身はみっちり土が詰まっているはずなので、そりゃ重いわけです。
是川縄文館
住所:青森県八戸市大字是川字横山1
休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)、祝日・振替休日の翌日(土・日曜日、祝日の場合は開館)、年末年始(12/27~1/4)、その他臨時休館日
HP:https://www.korekawa-jomon.jp/
アクセス:JR八戸駅からタクシーで15分
一日の最後は“シメのラーメン”で〆!
驚いたのは、八戸市の市街地には飲食店が入っている横丁が多いこと。8つもあるので、食事するのに選択肢がありすぎて逆の意味で困ります(笑)。その中でも今回は人通りが多めで一番入りやすそうな「みろく横丁」を訪ねました。なんでも東北新幹線八戸駅の開業に合わせて作られた、比較的新しい横丁なのだとか。
一杯飲みたかったのですが、この日は朝からほぼ何も食べていなかったので腹ごしらえをすることに。「おいしいらしい」と噂を聞いていたラーメン店「味のめん匠」ののれんをくぐりました。
おなかペコペコの私が選んだのは「八戸らーめん」。煮干しと鶏ガラの透き通ったスープが身体中に染み渡って、しみじみとおいしい…。決してこってりしていないのにあっさりすぎず、ほのかに甘みがあって、思わず「ああ…」と声が漏れるようなノスタルジーを感じる味わいです。
店長の下村和仁さんによると、八戸らーめんとは昔から八戸市内で親しまれてきた一杯なのだそう。昭和初期の1928年頃、ラーメン屋台の経営者が東京から八戸に移住。煮干しと鶏ガラ、豚骨でとった出汁と醬油ベースのタレで作られた志那そばを提供し始めると、その味を求めて行列になるほど人気を博します。その後一時的に八戸らーめんは途絶えてしまいますが、みろく横丁のオープンと時を同じくしてブランド化されました。
もちろんスープもチャーシューも麺も自家製。細めのちぢれ麺にスープが絡んで、煮干しの風味がしっかり楽しめます。
「実はお店が一番混む時間帯は23:00から24:00なんですよ」と下村さん。このあたりにはお酒が飲める店が多いので、シメのラーメンとして食べにくる方が多いのだそう。飲んだ後に欲しくなる味なの、よく分かります!
味のめん匠
住所:青森県八戸市六日町10-1 みろく横丁内
定休日:不定休
HP:https://36yokocho.com/shop/2-1/
アクセス:JR本八戸駅から徒歩10分
約3,000年前の人々の暮らしと、約100年愛されるラーメン。八戸市には昔からここで生活する人々の食や文化が息づいていました。縄文時代の人々は想像以上に高度な技術を持っていましたし、もしかして当時もラーメンと似たようなものを作って食べていたりしたかもしれません。そういえば某漫画では石器時代みたいな石の世界で猫じゃらしからラーメンを作っていたので、あながち私の妄想ではないのかも?
(リゾート編はこちらから)
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