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両社のシナジーにより市場シェア最大化を目指す

タレマネSaaS「タレントパレット」が楽楽クラウドに ラクスとPAコンサルが“SaaS連合軍”

2025年11月18日 11時45分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 バックオフィスSaaS大手のラクスは、2025月11月17日、タレントマネジメントSaaS「Talent Palette(タレントパレット)」を提供するプラスアルファ・コンサルティング(PAコンサル)と資本・業務提携を締結したことを発表した。

 本提携を受け、ラクスは、タレントパレットのOEM製品を「楽楽人事労務」として2026年1月以降に販売。さらに両社で、大企業にはタレントパレット、中堅中小企業には楽楽人事労務を訴求することで、市場シェア最大化を狙う。

 プラスアルファ・コンサルティングの代表取締役社長である三室克哉氏は、「SaaS業界は、競争が厳しい環境。プラスアルファ・コンサルティングはエンタープライズ、ラクスは中堅中小に強みを持ち、両社が合わされば“連合軍”として力を発揮できる」と説明。

 一方、ラクスの代表取締役社長である中村崇則氏は、「SaaS業界は成熟化が進み、良いサービスとそうでないサービスが混在している。“勝てるサービス同士”が組んでいくことが重要」と語った。

(左)ラクス 代表取締役社長 中村崇則氏(右)プラスアルファ・コンサルティング 代表取締役社長 三室克哉氏

顧客基盤を互いに補完するパートナーシップ

 楽楽精算や楽楽明細、楽楽販売といったバックオフィスSaaS「楽楽クラウド」を手掛けるラクス。その強みは、中堅中小企業に対する圧倒的なリーチ力にあるという。ただ、HR領域のサービスが「楽楽勤怠」のみに留まり、人事労務管理機能の拡充が課題であった。加えて、大企業向けの営業ノウハウが「まだ足りていない」とラクスの中村氏。

ラクスの手掛けるバックオフィスSaaS

 一方のプラスアルファ・コンサルティングは、マーケティング分野からHR領域へと事業を拡大し、データ活用のノウハウを携えてタレントマネジメントSaaS「タレントパレット」を展開。同サービスは、約4300社にまで導入実績を重ね、社員数1000人を超える企業の導入割合が約4割に達するなど、大企業での活用が進んでいるのが特徴だ。

 プラスアルファ・コンサルティングの三室氏は、「様々な人事施策を展開する上での豊富な分析機能、エンタープライズの要望にきめ細かく対応できる開発体制、高度なコンサルティングサービスがエンタープライズに評価されている」と語る。しかし、中堅中小企業には「なかなか攻めきれていない」(三室氏)状態だったという。

タレントパレットの強み

 そこで、顧客基盤を互いに補完すべく、資本・業務提携を決断。ラクスはプラスアルファ・コンサルティングの発行済み株式の4.09%を、2025年11月14日付けで取得した。「より強固な協業でサービスを広げていきたいという想いから、資本提携に至った」(中村氏)

ラクスはHR領域のライナップを拡充し、PAコンサルは中堅中小市場へのアクセスを確保

 この業務提携の第1弾として、ラクスは、タレントパレットのOEM製品として「楽楽人事労務」を拡販していく。同サービスは、タレントパレットの機能群から、人事DXを中心とした中堅中小企業向け機能をパッケージ化。人事管理や労務管理などの基本機能から人事評価やワークフロー、健康管理といったオプション機能までを備える。既にHR領域で展開する楽楽勤怠とのマスタ連携も提供する。

タレントパレットの中堅中小企業向け機能を「楽楽人事労務」に

 加えて、従業員300名以上の企業にはタレントパレット、300名以下には楽楽人事労務とターゲットを住み分け、営業・販売の相互支援を実施。これにより、両社の市場シェア最大化も図っていく。

 三室氏は、「大企業は、データ分析やグループ横断での人材活用・育成のニーズがある一方で、中堅中小企業では、人事情報を管理するデータベースの構築や人事業務の効率化のニーズが中心と、サービス利用が異なる。このような違いに対して、タレントパレット、楽楽人事労務の2つのサービスでHR領域をトータルにリーチしていきたい」と意気込みを語った。

タレントパレットと楽楽人事労務のターゲットの違い

 楽楽人事労務は、2026年1月~3月の間に提供開始予定。価格は、初期費用は10万円で、月額費用は3万円から(いずれも税別)となる。今後は、大企業市場での更なる協業なども見据えつつ、2028年までに2000社への導入を目指すという。

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