たまごっち最新作、再び社会的なヒットに
手のひらサイズで、どこへでも持ち運べるかわいいデジタルペット──そんな文脈で、1990年代にブームを巻き起こした「たまごっち」。
そしてその最新作となる、バンダイの「たまごっちパラダイス」が、再び社会現象的なヒットとなり、店頭ではほとんど見かけない状態が続いている。
たまごっちパラダイスは「日本おもちゃ大賞 2025」のデジタル部門でも大賞を受賞した。写真はTamagotchi Paradise(たまごっちパラダイス)Purple Sky
公式サイトより引用。(C)BANDAI
ヒットの規模は数字にも明確に表れている。メーカー公式の発表によれば、前作「Tamagotchi Uni」と比較して、発売前の予約数は400%を上回っていたという。
この数字について、メーカーは「一部店舗で予約数の引き上げを行うほどの好調なスタート」と形容。その人気ぶりは、現在の品薄状態にも表れているだろう。
なぜ大ブームが起きた?
近年の「たまごっち」は、玩具の枠を超え、ファッション小物や推し活アイテムとしても使用されるなど、幅広い層に愛される存在へと成長してきた。
初代ブームの後、2004年発売の「かえってきた!たまごっちプラス」による第二次ブーム、さらに2009年から2015年まで放送されたアニメ『たまごっち!』をきっかけとした第三次ブームでは、小学生を中心に支持を集めた。
最近では、国内外の著名人がSNSで紹介するなどの動きもあり、今回のブームでは、子どもの頃「たまごっち」で遊んでいた大人たちも巻き込む形となっている。
つまり「たまごっち」というIP(※)が時間をかけて成長してきた結果としての、爆発的な再ブームだといえる。
※キャラクターなどの知的財産
玩具としての完成度も非常に高い
さて、そんなブームの中心に位置するたまごっちパラダイスは、社会的な人気だけでなく、玩具としての完成度の高さも大きな魅力だ。
90年代から続く“かわいがる”というたまごっちの原点に加えて、最新作では「観察し、発見し、世界を作る」という“研究者の体験”が新たに取り入れられている。
惑星レベルからミクロの世界まで自在にズームできるダイヤル式のUIを通じて、たまごっちの営みに触れる体験は、ユーザーの心を強く掴んで離さない。
ポイント1:ダイヤル式のUIによるユニークな体験
ここからは、たまごっちパラダイスの玩具としての魅力を、3つの視点を軸に考えてみよう。
まずは物理的なインターフェース面の魅力に触れる。たまごっちパラダイスは、右上部に備えるダイヤルを回転させることで、ミクロとマクロの世界を自在に行き来できるUIを搭載している。
具体的には、たまごっちパラダイスの世界は、次のレイヤーで構成される。
たまうちゅー:世界全体の環境を見る俯瞰レイヤー
たまふぃーるど:たまごっちたちの暮らす世界を見る生態系レイヤー
たまごっち:育成中の個体の行動や感情を見る飼育レイヤー
たまさいぼー:病原菌や微生物の存在を扱う細胞レイヤー
ユーザーは、この4つの視点をダイヤルを回すことで切り替えられ、ミクロとマクロを行き来するたびに、拡大率ごとに“性質の異なるお世話”が楽しめるようになっている。
そして各スケールは互いに連動している。
たとえば「たまごっち」の機嫌が悪そうな際に「たまさいぼー」の様子を見てみると、病原菌のようなものに侵されており、その病原菌を退治することでたまごっちの機嫌が回復する。あるいは育成したたまごっちをフィールドに放つことで、フィールドが、自律的に遊ぶたまごっちで満たされた“自分だけのたまごっちの世界”になる。
タッチ前提の玩具が多い現代。こうした体験を、「機械式のダイヤル」という物理的なインターフェースに落とし込んでいる点が、新鮮な楽しさを生んでいる。










