京都フュージョニアリング、試験プラントで独自開発装置による液体金属からの水素回収試験を開始
フュージョンエネルギープラントのエンジニアリングを手がける京都フュージョニアリング株式会社は11月13日に、フュージョンエネルギーの発電技術の実証を行う統合試験プラント「UNITY-1」において、独自開発の装置「VST(Vacuum Sieve Tray)」を用いた水素回収試験の開始を発表した。
フュージョンエネルギープラントを継続的に運転するためには、燃料の供給を絶えず行う必要があるという。同社が開発を進める「フュージョン燃料サイクルシステム」は、燃料となる水素同位体(重水素およびトリチウム)の回収・貯蔵・供給等を担う技術で、その中でも「燃料の増殖と回収」は中核をなす要素の一つ。特に核融合反応を起こすのに使用できるトリチウムは自然界にはほとんど存在せず、プラント内での生成が不可欠だという。
トリチウムは、核融合反応によって発生する中性子をブランケット内の液体金属(リチウム鉛:LiPb)中のリチウムと反応させることで生成されるという。この工程により、プラント内部で燃料を継続的に増殖させることができ、生成されたトリチウムを回収・貯蔵することで、安定した燃料供給を実現するのだという。この技術を確立するために、液体金属からのトリチウム回収の実証が欠かせない。
同社が独自開発したVST(Vacuum Sieve Tray)では、液体金属のリチウム鉛を真空環境下(Vacuum)で上部から流し入れ、内部のトレイ(Sieve Tray)でリチウム鉛を液滴形状にて滴下させるという。これにより、真空環境に露出するリチウム鉛の表面積を増やして、リチウム鉛中に溶解しているトリチウムをガスとして効率よく抽出・回収するとしている。
今回の「UNITY-1」での試験では、第一段階としてトリチウムの代替として、同じく水素同位体である水素・重水素を用いて水素回収を実証するとのこと。得られたデータは、同社とカナダ原子力研究所(CNL)の合弁会社「Fusion Fuel Cycles Inc.」がカナダ・オンタリオ州にて推進しているフュージョン燃料サイクルシステムの実証を目指すプロジェクト 「UNITY-2」において、実際にトリチウムを使用した環境下で行う試験にも活用されるという。




























