大量データに埋もれている重要情報を発掘・活用! Gmailやドライブ上のデータをGeminiのDeep Researchで有効活用して業務効率化
2025年11月17日 10時00分更新
本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第35回はGeminiのDeep Researchを使ってGmailやドライブを直接読み込み、活用する方法について解説する。
Geminiで埋もれているGmailから返信すべきメールをリストアップ
11月5日、GoogleはGeminiのDeep Researchに、GmailやGoogleドライブ、チャットをソースとして利用できる機能を追加した。自分のデータを取り入れ、直接Deep Researchを実行できるのだ。ドキュメントやスライド、スプレッドシート、PDFを含むドライブのデータをまるっと扱えるので、包括的なレポートを作成できるようになる。
Googleのブログでは、例えば、チームの初期ブレインストーミング資料、関連するメールスレッド、プロジェクト計画を分析させることで、新製品の市場分析をしたり、公開ウェブデータと自社の戦略、比較スプレッドシート、チームチャットを相互参照し、競合製品に関する競合レポートを作成することもできると紹介されている。
この機能は、すべてのGeminiユーザーが利用できる。ただし、有料プランユーザーは「2.5 Pro」を使えるが、無料ユーザーは「2.5 Flash」のみとなる。
使い方は簡単。「Deep Research」をオンにすると、「ソース」というメニューが現れるので、プルダウンメニューからGmailやドライブを選択すればいい。
試しに、Gmailのみを選択し、返信すべきメールのリストアップをしてもらった。シンプルなプロンプトながら、未返信メールを調べ、リリースなど返信不要なメールを除外してもらう。過去40日を対象としたが、それでも数千通のメールが届いている。
すると、「Deep Research」がどんなタスクを行うのかプランニングして聞いてくる。問題なく指示を理解していたので、そのまま「リサーチを開始」をクリックする。
■プロンプト
先月頭から今日まで来たメールのうち、返信していないメールで、返事をした方がよいメールを優先度順に10通教えてください。返信本文の下書きもください。
しばらく待つと、「戦略的Eメール対応ブリーフィング」という9500文字にもなるレポートが生成された。基本的に、返信が必要なものは返信しているので、直近40日間で対応必須な未返信メールは2通だった。確かに、海外の取引先とのやりとりで、返信が漏れていたものだった。
さらに驚くべきことに、指定期間外となる8月のメールに関しても、重大と判断して報告してきた。税務関係のメールで未対応のまま放置すると、ペナルティが発生する可能性があるという。確かに、その通りで、重大案件だったので電話で処理したのだ。そのため、メールは返信していない。これはありがたいが、指示していないタスクを処理するのはちょっと怖いところでもある。
他に、重要度が中の2通と小の1通で計6通をリストアップしてくれた。それぞれのメールに対して状況の分析、深刻度の評価、返信本文のドラフト案を考えてくれた。海外の取引先に対しては、もちろん英語で書いてくれる。
社員の経費申請をチェックし、不備を発見する
次は、社員からの経費申請のチェックをしてもらった。1ヵ月分の申請内容が記載されたGoogleスプレッドシートを用意し、入力漏れと不正申告を確認させてみる。「Deep Research」をオンにして「ソース」を開き、今度は「ドライブ」にチェックを入れる。プロンプトはシンプルにした。
すると、Geminiはドライブの中を予備チェックし、「業務マニュアル」を発見。その中から、経費精算のルールを参照するというプランを出してきた。マニュアルを確認せよという指示は出していないのに、この対応はすごい。ただし、状況に応じては、余計なおせっかいとなることもあるだろう。「Deep Research」のプランニングはよくチェックする必要がありそうだ。
■プロンプト
10月の経費申請処理を開始します。入力漏れがないかどうかと、不正な経費利用をしている人がいないか、チェックしてください。
規定を超えた金額を申請してきたり、必要な情報を提示してきていない申告を漏らさずリストアップしてくれた。あえて、特定の人物に問題のある申告をさせてみたのだが、見事に名指しした。
「本監査で特定された最も悪質かつ高額な違反は、柳谷智宣氏に集中している。同氏は、監査基準である「04業務マニュアル」のドキュメントオーナー(作成・管理者)であり 、規程を熟知していなければならない立場にある」
マニュアルの作成者であることも分析し、「「ルールメーカー」が「ルールブレイキング」を行っている状況は、看過できない」と叱責してきた。ちょっと怖い。
とはいえ、申告を処理するタスクの前準備としてはとても効率的。Geminiが指摘した人を重点的にチェックすればいい。大きな時短になるだろう。
これまでも、Gmailやドライブの内容にアクセスできるAIはあったが、さすがGoogleのサービス同士、実用レベルになっている。タスクの精度というよりは、処理できるトークン数が大きく、指示を最後まで遂行してくれるというのがありがたい。今回、あえて超シンプルなプロンプトを使ったが、きちんと挙動をコントロールするように作り込めば、想定通りの動作をしてくれる。これはぜひ仕事で活用したいところ。
ファイルをアップロードすることなく、仕事で使っているデータに直接Geminiからアクセスできるのは便利だ。皆さんも、ぜひ触ってみてほしい。その賢さに驚くはずだ。
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Appleは音声アシスタント「Siri」の抜本的な機能強化のため、ライバルであるGoogleと提携交渉を最終調整していると報じられた。Siriの「頭脳」としてGoogleの最先端生成AI「Gemini」のカスタム版(1.2兆パラメータ級)を採用し、対価としてAppleが年間約10億ドルを支払うというものだ。
Appleは生成AI開発競争で周回遅れと評されており、自社開発(Apple Intelligence)だけでは高性能AIの迅速な搭載が困難と判断したようだ。刷新されたSiriは2026年春のiOSアップデートから提供されると見られている。Appleはこれを2026年後半の自社製AI完成までの一時的な解決策と位置付けているが、果たして急激な進化を続けるGeminiを超えるAIを開発できるのだろうか。今後の動向を見守りたい。

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