新永間市街線高架橋の構造とデザイン
建設当時の高架橋は、複々線構造で中央に長距離列車、外側に近距離列車を通す設計。煉瓦アーチが地上階の空間を支える構造となっており、内部空間の有効利用や基礎への負担軽減など優れた力学的仕組みを備えています。レンガは赤色を基調とし、側壁には石材による装飾やモールディングが施されており、重厚さと華やかさを兼ね備えたデザインとなっています。
当時、鉄筋コンクリート技術もまだ黎明期であり、都市部に長大な高架橋を築くことは挑戦的な試みでした。新永間市街線高架橋では、煉瓦アーチを連続的に積み上げる工法を採用し、職人の精緻な手仕事によって施工されました。ドイツ・ベルリンの市街線高架橋をモデルにしたといわれ、都市景観と鉄道機能を融合させた先駆的なインフラとして高く評価されています。
また、アーチ下の空間は早くから倉庫や商店、飲食店として活用され、現在も「東京駅~有楽町駅高架下商業施設」、有楽町駅以南・日比谷方面に続く「日比谷OKUROJI」などの形で再生されています。高架橋そのものが都市文化の器となり、鉄道遺産でありながら“まちづくりの舞台”として息づいている点が、新永間市街線高架橋の最大の魅力です。
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