Windows Info 第504回
新しいOutlookとOutlook Classic、そろそろ古いOutlookとExchangeの組み合わせは引退の頃合いか
2025年11月03日 10時00分更新
Windows 11には新しいOutlookが入っていて
Microsoft 365などでは古いOutlookも利用できる
Windows 11には、標準で「新しいOutlook」あるいは「Outlook for Windows」という名称でメール/カレンダー/連絡先機能を持つアプリケーションが付属している。
これは、Windows 10 Ver.1507(RTM)に付属していた「メール/カレンダー/ピープル」の代用として登場した。切り替わったのは、2022年でWindows 11のRTMである最初のバージョンとなるVer.22H2である。以下、これを「新Outlook」と呼ぶ。なお、実際にはもう1つ、Webアプリケーションとして、Outlook.comがある(以下、Outlook.com)。
Microsoft OfficeあるいはMicrosoft 365サブスクリプションなど、Officeユーザーで従来からOutlookを利用してきたユーザー向けに「Outlook(Classic)」(以下、Outlook.exe)というアプリケーションも存在する。こちらは名前が少々異なるだけで、Officeユーザーにはなじみの深いOutlookそのままである。なお、過去に登場したOutlookに関しては、過去記事(「Outlookの25年の歴史を整理する」)を参照してほしい。
新Outlookは、Outlook.comと同期をするため、Android版のMicrosoft Outlookなどと共通のカレンダー/連絡先を利用できる。位置づけとしては、かつてのOutlook ExpressやWindows Mailに近い。本来のOutlook.exeが持っている機能のうち、メール、カレンダー、連絡先、To-Doの4つの機能を持っている。
ただし、Microsoftアカウント(Outlook.com)側との同期機能が必要になるため、Microsoftアカウントで利用することが必須である。
なお、WindowsやAndroidには、独立したMicrosoft To-Doアプリが存在し、新Outlookの内蔵機能と同等のことが可能。Microsoft To-Doは、もともとはAndroid用タスク管理アプリWunderlistの開発会社(6Wunderkinder)を買収して、自社製品としたものだ。
現状の感じからすると、To-Doは新Outlook(およびOutlook.com)に吸収され、単独アプリケーションは終了になるのではないかと推測する。
Office付属の昔ながらのOutlook.exe
続いて、Outlook.exe。筆者は、企業向けOfficeサブスクリプションとしてのMicrosoft 365を利用しており、買い切りのOfficeや個人向けサブスクリプションとは若干異なる部分があるかもしれないのでその点をあらかじめお断わりしておく。
現在実行しているバージョンは、10月21日配布のバージョン2509(ビルド 19231.20216、ビルド16.0.19231.20138)の64bit版だ。これは買い切り版でいうとOffice 2024相当だが、アップデートでいくつかの機能追加がなされている。一方で買い切り版は、アップデートによる機能追加はないとされている。
Outlook.exeには、新Outlookにはない、「メモ」と「タスク」および、ビューのカスタマイズやフォルダーによる独自データの管理などが可能になっている。このあたりは従来のOutlookのままだ。
メール、カレンダー、To-Doに関しては、Microsoftアカウントを使って、Outlook.comをハブとして同期が可能になっている。また、Outlook.exe側のタスクをTo-Doとして扱うこともできるようだ。ただし、従来のタスクが持っていた機能(タスクの依頼先など)はTo-Do側では対応していない。
メモは、Outlook.comを介してWindows 11の「付箋」アプリと同期できるようになっている。
Outlook.exeも新Outlookも、Microsoft以外の独自(メール)アカウントを登録できる。このときカレンダーや連絡先、To-Do、メモなどが同期可能かどうかは、接続先サーバーの仕様による。
簡単に言えば、Exchange相当の機能を実装しているなら、メール以外の機能も利用可能になる。ISP(インターネット接続プロバイダ)の提供するメールアドレスなどでは、カレンダーなどの同期機能に対応していないため、メール以外の機能はほとんど利用できない。
このOutlook.exe/新Outlookの独自メールアカウントでは、IMAPやPOPといった、旧来のメールサーバーとの接続にも対応している。試したところ、新Outlookでは、セキュリティ設定に応じてIMAP/SMTPサーバーのポート番号まで指定する必要があった。しかし、Outlook.exeでは、パスワードとメールユーザーアカウント(通常はメールアドレスを使うことが多い)の指定のみで接続が完了した。このあたり、長年使われて来たソフトウェアであるため、細かい点も含めて、ユーザーに負担をかけない仕組みがいろいろと入っていそうだ。
なお、新OutlookをWindows 10で動作させ、Windows 11と同じ設定にしても、接続できないIMAPサーバーがあった。もっともWindows 10はサポートを終了しているので、どうにかなるものではないが……。

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