お金の知識ゼロの50代が今からはじめる新NISA&iDeCo②

いざ、実践。新NISA&iDeCoのゼロから始めるステップガイド

文●ガーコ 編集●杉山幸恵

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 「老後のお金のことを考えると、新NISAやiDeCoを始めてみたい」。でも、「口座ってどうつくればいいの?」「なにから始めればいいかわからない」「なんか面倒くさそう」。そんな壁にぶち当たって、結局始めないままずるずると…なんて人はいませんか? 長期間であればあるほど得られる金額が大きくなる可能性のある投資は、悩む前に少しでも早く始めるのが吉。そこで連載第2回となる今回は、マネー系インフルエンサーのガーコさんに、新NISAとiDeCoの始め方について投資未経験者でもわかるように解説してもらいました。

50代は新NISAとiDeCo、どちらから始めるべき?〜 老後までの期間・目的・資金の自由度で判断

 「新NISAとiDeCo、結局どっちを先に始めればいいの?」。50代の方から必ず出る質問です。答えはシンプル。「自分のお金をいつ使う予定か」「どこまで制度を使いこなしたいか」によって違います。

 まずは新NISA。最大の魅力は“柔軟さ”です。利益に税金がかからず、必要になればいつでも引き出せる。介護費用やリフォームなど、人生の後半に想定外の出費が出ても対応できるのは安心です。まさに「流動性のある資産形成ツール」。

 一方、iDeCoはまるで性格が逆。正式名称は「個人型確定拠出年金」。名前に“年金”と入っている通り、老後専用の資金です。60歳まで原則引き出せませんが、その制約が「老後資金を確実に積み上げる」強制力になります。さらに掛金はそのまま所得控除になり、50代の高所得層ほど節税効果が大きいのも魅力です。

 ただし、iDeCoには“出口問題”もあります。受け取り時には退職金や公的年金と合算され、課税対象になることも。50代から始める場合は残り期間が短いので、そこまで大きな影響は出にくいのですが、「入口の節税は嬉しいけど、出口の税金まで計算するのは正直めんどくさい」という人には、新NISAの方がシンプルで使いやすい選択肢になるかもしれません。

 とはいえ「両刀使い」という手もあります。例えばiDeCoは月1万円だけ掛ける。これでも所得控除の恩恵はきっちり受けられますし、出口の課税リスクも最小限に抑えられる可能性があります。残りの余剰資金は新NISAで積立。こうすれば「節税メリット」と「自由度」のいいとこ取りが可能です。

 「新NISAか、iDeCoか、いや両方か…?」と悩んでいる時間が一番もったいない。まずは小さな一歩を踏み出すこと。それが50代の資産運用を成功させる第一歩なのです。

ストーリーで見る:年金はいくらもらえる?〜ねんきん定期便を開いてみよう

 「投資で老後資金を作ろう!」と行動に移す前にまずやるべきこと。それは年金がいくらもらえるか知ることです。そこで登場するのが「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」。

Aさん夫婦のケース

ここで登場するのは50代前半のAさんご夫婦。

・夫:会社員、60歳定年予定

・妻:以前は会社員、今はパート勤務

ねんきんネットで試算したところ、

・夫:65歳から月15万円

・妻:65歳から月10万円

合計25万円の年金が見込まれています。

 「25万円あれば十分かな?」と最初は思ったAさん。しかし生活費をよく考えると、固定費や変動費を合わせて毎月28万円ほど。つまり月3万円の赤字。老後20年間で計算すれば、約720万円不足という現実に直面しました。

 そう、「年金だけじゃいくら足りないか?」これが年金額を確認する意味です。年金の不足分を埋める手段が、新NISAやiDeCoによる資産運用、というわけです。

 そこでまずは、ねんきん定期便を引っ張り出して確認してみましょう。見るべきポイントは以下の3つ。

1.年金見込み額(自分・配偶者の合計)

2.加入状況(厚生年金か国民年金か)

3.今後の加入期間(60歳までどれくらい残っているか)

 「思ったより少ないなあ」と感じるのが普通です。でも、落ち込む必要はありません。今の50代には、新NISAやiDeCoという“補うためのツール”が用意されているのですから。

 さて、年金額を確認したAさん夫婦。次に気になるのは「じゃあ老後って毎月いくらかかるの?」という現実的な生活費です。Aさん夫婦は家計簿アプリを使って、現在の支出を整理しました。トータルすると、毎月28万円ほどかかっていることがわかりました。

年金との差を確認

Aさん夫婦の年金額は25万円。支出28万円との差額は月3万円の赤字。これを20年間で計算すると約720万円の不足になります。

 「毎月ちょっと足りない…」という状態は、実際に老後を迎えてから気づくと大変。だからこそ、50代のうちにシミュレーションしておくことが重要なのです。

 さて、Aさん夫婦はここまでで「年金は月25万円」「生活費は月28万円」と把握しました。差額は月3万円。老後20年間で約720万円の不足が見えてきました。ここからが本題、投資でどうカバーするかのシミュレーションです。

 仮に50代前半の今から65歳までの15年間、新NISAを使って月3万円ずつ積み立てた場合を考えましょう。年率3〜5%程度で運用できれば、65歳時点でおよそ700〜900万円に育つ見込みがあります。つまり、年金で足りない分をほぼ補える計算です。

 「えっ、そんなに増えるの?」と思った方もいるかもしれません。もちろん投資なので上下はありますが、15年間の積立+複利効果は想像以上に大きい力を持っています。

 また、Aさん夫婦は定年時に退職金がある程度出る予定。この退職金の一部を新NISAに投資して、残りを生活費に回すのも有効です。

 さらにAさん夫婦は新NISAをメインにしつつ、iDeCoも月1万円だけ掛けることにしました。仮にAさん夫が年収500万円だったとします。50代前半の今から65歳までの15年間、iDeCoを使って月1万円ずつ積み立てた場合を考えましょう。年率3〜5%程度で運用できれば、65歳時点でおよそ140〜150万円に育つ見込みに。さらにNISAにはないメリット「所得控除」が使えるので、10年間で合計約24万円、所得税と住民税の軽減効果が期待できます。

 新NISAやiDeCoでいくら増やせるか知りたい場合は、金融庁の「資産運用シミュレーター」や証券会社のサイトを利用するのがおすすめ。自分の年齢・投資額・期間を入力するだけで、将来の資産イメージを確認できます。「数字が苦手…」という方も、電卓いらずで簡単にできるので一度試してみてください。

 Aさん夫婦はこのシミュレーションを通して「老後にどのくらい必要か」「毎月いくら投資すれば安心か」がクリアになりました。漠然と「老後が不安だなぁ」ではなく、「月3万円ならやっていけそう」と思えたことで、行動に踏み出す勇気が出たのです。

とっても簡単!新NISA&iDeCo口座開設の流れを完全ガイド

 ここまでで「老後にいくら不足するか」「どのくらい投資すればいいか」が見えてきました。

 次にやるべきことはシンプル。新NISA口座、iDeCo口座を作って積立を始めることです。

 「えっ、なんだか難しそう…」と思った方、ご安心を。実はスマホ1台で10分から30分程度と、とっても簡単です。以下では一般的な新NISAとiDeCoの口座開設の流れを確認していきましょう。

1. 金融機関を選ぶ【新NISA&iDeCo共通】

→ 銀行・証券会社などで口座開設できる。

→ これから投資を開始する場合は大手ネット証券(楽天証券やSBI証券)などがおすすめ。

→ 手数料無料が基本。ネット証券だと商品数が豊富。

2. 資料請求・申込

•新NISAの場合

→ ネット証券ならWeb申込が可能。本人確認書類アップロードで完了することが多い。

→ 書面郵送よりスピーディー。

•iDeCoの場合

→ 資料請求して紙の申込キットが送られてくる。

→ 書類を記入して返送。勤務先の証明書が必要になる場合あり。

3. 加入資格の確認

•新NISAの場合

→ 日本在住の18歳以上なら誰でもOK。

→ 勤務先に書類を出す必要はなく、本人確認のみ。

•iDeCoの場合

→ 職業ごとに加入区分あり(自営業・会社員・公務員・専業主婦など)。

→ 会社員や公務員はかつて「事業主証明書」が必須だったが、現在は不要に。

4. 投資枠・掛金の設定

•新NISAの場合

→ 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を自由に組み合わせ可能。

→ 枠は年間合計360万円、非課税期間は無期限。

自分で購入商品・金額を設定。

•iDeCoの場合

→ 掛金は月5,000円から、1,000円単位で設定。

→ 会社員・公務員・自営業など職業によって掛金の上限額が異なる。

→ 自分で購入商品・金額を設定。

→ 毎月設定した拠出額が自動引落しされる。

5. 審査・口座開設までの期間

•新NISAの場合

→ 金融機関による本人確認後、税務署の審査を経て、2〜3週間程度で口座開設完了。

•iDeCoの場合

→ 金融機関経由で国民年金基金連合会が審査。

→ 場合によっては、1〜2か月(長いと3か月)かかることも。

投資額はどう決める?「無理のない積立」が長続きのコツ

 口座が開設できたら、次のステップは「いくら投資するか」を決めることです。ここで無理をすると、せっかく始めた積立が続かなくなり、「やっぱり投資は自分には合わない」と挫折してしまいます。50代からの投資は、続けられる金額で始めることが何より大事です。

 まずスタートラインは1万円で十分。「月1万円なんて少なすぎるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。投資の効果は「複利」と「時間」によって積み上がります。たとえ1万円でも15年間続ければ、まとまった金額に育ちますし、何より「投資の仕組みを自分の生活に組み込む」ことが最大の成果です。

 無理のない金額をどう見つけるのか?ここで大切なのが余剰資金を確認すること。生活費+生活防衛費(万が一、職を失ったり病気をしたりした場合など再起までに必要な期間を乗り越えるためのお金。一般的には毎月の生活に必要なお金の1年〜2年分が必要と言われる)+近い将来の支出(住宅修繕や旅行費用など)を差し引いた残りが投資に回せるお金です。「毎月このくらいならなくても大丈夫」という金額が、あなたにとっての正しい投資額といえるでしょう。

 大事なのは「いきなりフルスピードで走らない」こと。投資はマラソンのようなもので、途中で息切れしてしまっては意味がありません。50代からでも、月1〜3万円を無理なく積み立てていく。それだけで老後の安心度はぐっと増すのです。

商品の選び方はシンプルに。インデックス投信が王道

 さあ、いよいよ「どの商品を買うか?」という場面にやってきました。ここで多くの50代の方がつまずきます。「種類が多すぎて何を選べばいいかわからない!」。証券会社の画面に並ぶ無数の投資信託に圧倒され、気づけば数時間ネットで比較して疲れて終了なんてことが起こるかもしれません。

 でも安心してください。答えはシンプル。新NISAでもiDeCoでも、インデックス投資信託を選べば大きく間違えることはありません。インデックス投信とは「市場全体の動きに連動する投資信託」。たとえば「日経平均株価(ファーストリテイリングやソフトバンクなど日本を代表する大企業225社の株価に連動する指数)」や「S&P500(アップル、マイクロソフトなどアメリカの代表的な500社の株価を集めた指数)」といった指標に沿って動きます。

 これなら「どの企業が伸びるか」を予測する必要がなく、世界やアメリカの成長をそのまま取り込めるのです。

 なぜインデックスが王道なのか、その理由は3つあります。

1.分散が効いている:数百〜数千の企業にまとめて投資しているのと同じ。

2.コストが安い:運用に手間がかからないので信託報酬が低め。

3.長期投資に向いている:市場全体は短期では上下しますが、長期では右肩上がりが基本。例えば、直近30年間のS&P500の年率リターンは10%を超えます。途中、リーマンショックやコロナショックなど暴落もありましたが、長期で見れば年率リターン10%と力強く成長してきたことがわかります。

具体的におすすめすなのは次の2つです。

・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、愛称「オルカン」:世界中に分散投資。

・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):アメリカに集中投資。

 「世界に広く分散」か「アメリカ一本で勝負」か、ここは好みで選んでOKです。どちらも50代からの長期投資に十分耐えられる商品です。

 なお、オルカンは全世界の主要企業に投資しているとはいえ、現在は米国株が強く、アメリカの割合が6割。時代時代で強い国が変わっていってもオルカンなら強いところに自動で投資比率を変えていけるのがメリット。一方、S&P500もアメリカ企業とはいえ、海外売上比率が4割を超えていると言われます。

 両者はさまざまな項目で比較できますが、大事なことは途中でどちらかの成績が悪くなっても長期で保有し続けること。株価が低迷しているときこそ安く仕込めるチャンス。良い方ばかりに乗り換えては結果的に高値掴みをし続け、思ったほど資産形成が進まないリスクがあります。

 別株や高配当株など魅力的に見える商品もありますが、初心者が手を出すと振り回されるだけ。50代から始めるなら、まずはインデックス投信一本で十分です。投資はシンプルであるほど強いのです。

積立投資が基本、でも新NISAには一括投資のメリットも

 ここまでの流れで「老後資金は積立投資で作る」とお伝えしてきました。

 確かに積立投資は、毎月少額から始められ、時間を分散して投資できるので心理的にも安心です。投資初心者にとって最強の味方といえるでしょう。

 でも、50代にはもうひとつ選択肢があります。そう、一括投資です。なお、iDeCoは毎月の拠出限度額が決まっており、数百万円一括投資はできません。そのため一括投資するとなると新NISAで、となります。

積立投資の強み

・時間分散:買うタイミングを分けることでリスクを和らげられる

・心理的に楽:暴落しても「今は安く買えている」と前向きに考えられる

・生活リズムに組み込みやすい:自動引き落としで放置できる

一括投資の強み

・資金効率が高い:大きな資金を早く投資に回すほど、複利効果が長く働く

・非課税枠をすぐ活用できる:新NISAの年間投資上限は最大360万円。これを一気に使えば、早くから大きな資金を非課税で育てられる

・退職金の活用に向く:まとまったお金を効率的に運用開始できる

 注意点は、投資未経験者が一括投資してその後暴落した場合は、下落時の精神的ダメージが大きいということ。そこでおすすめなのが「分割一括」。例えば300万円を3回に分けて数か月にわたり投資すれば、リスクを和らげつつ効率も確保できます。

 また、20代・30代のように「積立一択」で時間を味方につける世代とは違い、50代は「退職金」「教育費後の余剰資金」など、まとまった資金を持つ可能性があります。だからこそ、積立と一括を上手に組み合わせ、NISAの非課税枠を最大限に活かすのが現実的な戦略なのです。

50代から始める最初の一歩。合言葉は「余剰資金で、シンプルに、無理なく」

 ここまで読んできたあなたは、もう「投資って難しそう」「自分には無理かも」とは思っていないはずです。投資において大切なのは、必ず生活に必要なお金は残した上で、余剰資金で行うこと。これが安心の大前提です。そして商品選びはシンプルに。仕組みを作って無理なく続けること。それだけで、老後の安心はぐっと高まります。

 そして、その先に考えるべきは「失敗しない運用」をするということ。投資の最初の一歩を踏み出したら、次に大事なのは「どう続けるか」「どうリスクに備えるか」です。相場が下がったときに慌てて売ってしまったり、生活費を削ってまで投資してしまったり、こうした失敗を避けることが、安心運用のカギになります。

そこで第3回では、

「しっかり対策を練って安心運用。失敗しない新NISA&iDeCo活用術」
をテーマに、よくある落とし穴とその回避策を具体的に解説します。

 「せっかく始めた投資、途中で失敗したくない」という50代のあなたにこそ読んでいただきたい内容です。今日の一歩が、未来の安心につながる。さあ、「失敗しない投資家」へのステップに進んでいきましょう。

著書の「知識ゼロから3 ステップで未来が変わる! ふつうの会社員のためのお金の増やし方【最適解】」でも、お金にまつわるさまざまな知識を紹介している

Profile:ガーコ

資産運用や投資、お金関連の情報を発信する、マネー系インフルエンサー。 新卒でIT企業に就職し、マーケティング、経営企画、新規事業開発に従事。働きながら夜間大学院に通い、経営学修士号(MBA)を獲得。その後、金融機関に転職。ファイナンシャルプランニング技能士資格保有。ITストラテジスト、プロジェクトマネージャーなど複数の難関国家資格を保有。自ら「プロフェッショナル窓際族」を実践し、社内で一定の評価を獲得しつつも、ほぼ毎日定時帰りを実現。会社員のかたわら、YouTubeなどのSNSを通じ、副業を開始。一見難しそうなお金の制度や知識をわかりやすく丁寧に解説し、人気を集める。SNSの総フォロワー数は40万人超え(2025年6月現在)。2025年7月に初の著書となる「知識ゼロから3 ステップで未来が変わる! ふつうの会社員のためのお金の増やし方【最適解】」(扶桑社)を発行。

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