アップル向けにチップを製造している台湾の半導体メーカーTSMCは、アップルなどの主要顧客に対して価格引き上げ通知を始めたという。韓国のテックブロガーyeux1122氏が11月5日に自身のブログで伝えている。
同氏は台湾メディアと関係者からの話として、TSMCが5ナノメートル以下の先端製造プロセスに対する価格引き上げを主要顧客に通知し始めたと伝えている。
条件は取引先によって異なるものの、一般的に2026年から毎年3~5%の価格引き上げになるとのこと。とくに一部の取引先と製造ラインにおいては、最大8~10%までの引き上げを検討しているそうだ。
この一部の取引先がどこかが重要なわけだが、「5ナノメートル以下が対象」ということを考えると、現行で3ナノメートル、次世代では2ナノメートルを開発しているアップルは一部の取引先に当てはまると見られている。
なお、先月には中国メディアChina Timesが、来年のiPhoneモデル向けに設計されたアップルのA20チップのコストが大幅に高くなる可能性があると報じていた。
A20チップは来年のiPhone 18シリーズでデビューする広く入手可能な初の2ナノメートルチップになる可能性が高く、TSMCは2ナノメートルプロセッサーの価格が3ナノメートルプロセッサーより少なくとも50%高くなると顧客に伝えたという。
サプライヤーの予測によると、2ナノメートルプロセスで製造されるフラッグシップモバイルチップは、量産が始まると1ユニットあたり約280ドル(約4万3千円)になるという。これはiPhoneのなかで最も高価なパーツとなり、価格をユーザーに転嫁しない場合はアップルの利益率が大きく下がる可能性がある。
ちなみに台湾メディアDigiTimesの2024年のレポートによると、A18チップのコストは約45ドル(約7000円)で、小売価格799ドル(約12万5千円)のモデルの総ハードウェアコストは416ドル(約6万5千円)だったという。つまり、チップは部品コスト全体の約10%、開発費や物流費を除いた小売価格の約5~6%を占めている計算だ。
もしこのチップ値上げのうわさが本当であれば、アップルは2026年のiPhoneにおいてiPhone 18 ProとiPhone 18 Pro Maxのみに2ナノメートルチップを搭載する可能性がある。実際、アップル関連の著名アナリスト、ミンチー・クオ氏は2024年9月に「コストの懸念により、すべての新型iPhone 18モデルが2ナノメートルプロセッサーを搭載するとは限らない」と警告していた。
Proシリーズだけにしか搭載されないだけなら良いが、はたして価格はどうなるのだろうか……。

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