このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

液冷技術の共同検証、IOWN APN活用の分散データセンター、再エネ利用などの新トピックも

1.5兆円以上の投資計画、NTTデータが国内+海外のデータセンター戦略を紹介

2025年03月10日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

老朽化データセンターの“空洞化”対策、IOWN APNによる分散データセンターの取り組みも

 注力ポイントの2つめ「Data Center Trial Field」は、液体冷却(液冷)技術について課題を持つさまざまな分野の事業者が共同検証を行う施設だ。2024年11月に開設された。渋谷氏は、現在は9社が参画しており、今後も複数社の参画を予定していると話す。

 「液冷や液浸といった冷却技術は、建物や設備だけでなくIT機器側の対応も必要だ。そのため、今後の高発熱サーバーに対応する冷却技術は、(液冷などの)設備メーカーだけで対応することはできず、さまざまな事業者の知見が求められる。ただし『そうした取り組みを行える場所がない』という課題があった。Data Center Trial Fieldでの取り組みを通じて、日本の業界に貢献したい」(渋谷氏)

先進冷却技術の共同検証施設「Data Center Trial Field」を開設

 3つめの「顧客データセンター資産最適化サービス」は、顧客企業が所有してきたデータセンターの“空洞化”を解決するというサービスであり、2024年12月に発表された。

 「『企業内データセンターの約7割は2000年以前に竣工したもの』という調査結果がある。こうした古いデータセンターでは、わずかラック数本が残っているために閉鎖できなかったり、受変電設備や空調設備の更改(アップグレード)に投資ができなかったり、といった老朽化課題が多くある。このサービスは、データセンターのアセット(資産)を評価して、その活用方法の検討を支援するもの。固定資産の最適化、ROEの改善につなげることができる」(渋谷氏)

顧客企業が保有する古いデータセンターを最適化するサービス

 そのほか、NTTグループとして推進している、超高速/超低遅延のIOWN APNで複数のデータセンター間を接続し、あたかも“ひとつのデータセンター”のように利用できる「分散型データセンター」の構築にも取り組む。

 また、NTTデータグループの特徴として、ITサービスやシステム開発における技術力による「Engineering」、テレコム企業に由来する確かなつなぐ力を指す「Connectivity」、世界各地に展開する「Data Center」、日本で培ってきた確かな技術力と信頼による「Japanese origin」をあげた。

ITサービス連携も進め“NTTグループならでは”を目指す

 さらに、NTT GDCでは、AI利用に最適な高密度・高発熱システムの提供に加えて、それらを受け入れ可能なインフラストラクチャ、効率的な冷却ソリューションについてもサポート。すでに米国やインドを中心に、200kWを超える最新冷却方式の商用実装を完了しているほか、直接液冷方式システムに関しても、積極的に対応する考えであり、米国、インドのデータセンターのほか、京阪奈、白井、栃木の各データセンターにも直接液冷方式システムの導入を図るという。

すでに直接液冷方式(DLC)で“200MW以上”の超高発熱環境にも対応実績がある

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所