ライダーの聖地でリセット旅。消耗した心に栄養を与えるべく北インドの秘境・ラダックへ

文●杉山幸恵

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最もチャレンジングな場所に行きたい!北インドの秘境でサバイバルなバイク旅

 一時は「こんな人生投げ出したい」とまでに深く沈むも、ようやく底を抜けたタイミングで、あともうひと押し浮上するために海外旅行を思い立つ。もともと大学生の時にベトナムでのボランティアプログラムを通じて異文化の自由さに衝撃を受け、そこから世界各国を旅してきたはるかさん。復職後も毎年1〜2か国を訪問し、国内外でバイクでのツーリングも楽しむほどの旅好きだった。

キューバ、メキシコ、ドイツ、イランなど各国へ。写真はモロッコでラクダに乗った時の様子(上)と、ニュージーランド南島を一周した時の様子(下)

 「旅を始めたころから、1年やそれ以上の時間をかけて『世界一周をしたい、できればバイクで』と思っていました。でも会社を辞める勇気もなくて、いつの間にか旅が楽しいのかすらもわからなくなり、それが鬱の症状だとわかりつつも、そんな自分に嫌気がさしていました。そこで、少し鬱が持ち直した後、以前から申請していた有給休暇の限界日数である1か月の休暇を活用し、コロナ禍ぶりに海外へ行くことを決意。

 どうせ行くなら、ずっと憧れていた場所であり、最もチャレンジングな冒険ができそうな場所…インドのヒマラヤが、この閉塞感を打破するのにふさわしいと感じたのです。抱き続けている夢にひとつの決着をつけることができるかもしれない、とも思いました。そして勢いよく航空券を取って準備をし、その2週間後にはラダックへと飛び立っていました」

 ラダックでのバイク旅はそのほとんどが未舗装でサバイバル的な要素も多いが、荒々しい山岳地帯を貫く絶景ルートが多くのライダーたちを魅了している。その拠点となるのは標高3600mのレーという都市で、富士山頂と同じ程度の酸素濃度しかないため、はるかさんも到着早々に高山病の洗礼を受けることに。さらに激しいひどい下痢にも見舞われるが、現地の病院へ駆け込んで一時的に回復する。

この〝きれいな水道水〟を大量に飲んだことで病院に駆け込む事態に。漫画は「女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る。」より

 ピークは過ぎるも、定期的にやって来る腹痛とうまく付き合いつつ、初めてバイクを借りて移動した日。その一日の体験があまりにも濃く、「50ページくらいの漫画が描ける!」と思ったはるかさん。「自分が感じたワクワクや怖さを記録に残したい」という衝動に駆られたという。そして旅をしながら日記や写真、動画を残し、帰国後に漫画としてまとめることに。

はじめてラダックでツーリングをした日に、この思い出を描き残そうと決めた。漫画は「女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る。」より

 「視界の悪い大雨の中でオフロードを走行したり、下痢が3週間続いて9㎏も体重が減ったり…。まさに命懸けとも言える旅でしたが、その分、ふさぎ込んでいた自分が息を吹き返すきっかけとなりました。カーブを曲がったらどんな景色があるだろう?今日はどんな出会いがあるだろう?とワクワクしっぱなしで。 2年間、心理学やカウンセリングを通じて自己分析を重ねてきましたが、普段目につく自分の嫌なところが薄れて、旅先で復活した好奇心や、いきいきとした自己像と出会い直せた喜びは、想像以上で。そして、その楽しさや心が動いた瞬間を、自分のためにも記録したい、誰かに伝えたいという思いがあふれてやみませんでした」

ラダックではバイクをレンタルしてツーリングへ。漫画は「女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る。」より

標高5359m*、車が通行できる世界一標高の高い峠*と言われている(*は共に諸説あり)「カルドゥン・ラ」にて

目の覚めるような絶景の連続につい立ち止まってしまい、なかなか先に進めないなんてことも

近年、軍事整備や観光需要増のために舗装化が進んでいるラダックだが、辺境に行くほどオフロードの道が増えていく

標高4500m、天空の湖と呼ばれる「ツォ・モリリ」にて

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