生成AIサービスを直接使っている限り、ビジネスパーソンのAIの活用はなかなか進まない。個人的には日常的なアプリの魅力的な機能としてAIが埋め込まれるのが理想だと考えている。そんな中、ビジネスの現場で重宝がられそうな筋のいいAIアプリがまた出てきた。先週発表されたAcrobat AIアシスタントとLINE WORKSラジャーである。
日本語対応したアドビのAcrobat AIアシスタントは、PDFアプリのAcrobatに追加される生成AI機能(関連記事:チェック業務が爆速に!「Acrobat AIアシスタント日本語版」ファーストインプレッション)。機能的には、文書のチェックや要約などいかにも生成AIという感じだが、日常業務でPDFを扱う機会を考えれば、かなりのインパクトがある。なにしろ日本は「紙だらけ」と同じくらい「PDFだらけ」。今まで編集できない画像ファイルのような扱いだったPDFの扱い方もAcrobat AIアシスタントの登場で変わるかもしれない。まずはマニュアルや契約書など長文の要約やチェックに効果を発揮しそうだ。
多くのユーザーを抱えるLINE WORKSと連携できるトランシーバーアプリであるLINE WORKSラジャーは、音声と文章の相互変換にAIを活用している(関連記事:トランシーバーアプリ「LINE WORKSラジャー」提供開始 AIで文字と声の垣根を越える)。こちらはビジネスシーンで死蔵しがちな音声データの利活用に道を開くという意味で推させてもらう。日本語にチューニングされたLINE AIを用いているので、変換やフィラー除去の精度も高く、発表会で披露された書き起こしや読み上げのデモも完璧で驚いた。外資系LLMの戦略や価格変更の影響を受けにくいのもメリットと言えるだろう。小売、介護、医療、建設など、現場までのラストワンマイルで効果を発揮しそうだ。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。

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