急激に参加企業が増え
スタッフの増強に追われるRISC-V財団
前回まで紹介したように、米国よりも早くRISC-V市場の立ち上がりを見せていたのは中国であった。連載747回で示した下の画像でも、2020年後半から急速にメンバー企業が増えているのがわかる。
こうしたエコシステムパートナーの急増に対応すべく、RISC-V財団も急速にその体制を整えていく。2019年3月には、IBMでIBM Zというメインフレームのエコシステム作りに携わっていたCalista Redmond氏をCEOとして招聘する。
実はRISC-V財団、取締役会こそ早期に結成された(2017年2月におけるメンバーはRISC-V財団の取締役会ページにあるとおり)ものの、その下で実際の処理を行なう事務局がなかなか立ち上がらなかった。そのため、財団のメンバーがボランティアでやっていたらしい。
さすがにこのままではまずい、ということで事務局が立ち上がり、Rick O’Connor氏(Executive Director)とSue Leininger氏(Community Manager)が就任するものの、この時点でメンバー企業は100社を超えており、そろそろ手が回らなくなってきていた。
さらに、Connor氏はあくまでExecutive Director、日本で言えば常務のような位置づけで、ある程度自分の裁量で処理できるが、面倒な案件は上の判断を仰ぐしかない。ところが、この当時の「上」はいきなり取締役会である。メンバー企業が少ないうちはこれでも回るだろうが、大規模になってくるとこれでは不都合が多い。
そこで、2019年1月にはRISC-V財団のCEO探しが始まる。ただ見つかるまでなにもしないわけにもいかないので、WDのMartin Fink氏が暫定CEOに就任する。
余談だがFink氏はWDのCTOを2019年4月まで勤めており、その後1年あまりはCTOも辞してCEOの相談役を務めた末、2020年9月に引退されている。そんな引退寸前の人間に暫定CEOを押し付けていたわけで、早急に正式なCEOを探さないとまずいのは目に見えている。
2ヵ月ほどでRedmond氏が見つかったのは、RISC-V財団にとってもFink氏にとっても幸いであった。もっともCEOが決まったからといってすべてが動き出すわけではなく、その下で動いてくれる上級管理職が必要になる。まず最初に募集を掛けたのがCTO職であり、こちらは少し時間がかかったものの2020年6月にMark Himelstein氏が就任している。
これに続き随時スタッフが追加されており、直近ではRedmond氏とHimelstein氏、それと2022年11月に就任した Tiffany Sparks氏(VP, Marketing Director:前職はSynopsysのMarketing Sr.Directorだった)の3人が上級管理職としてフルタイムで勤務、その下に14人のスタッフが配されている。
非営利団体とはいえ、3000ほどの参加メンバーが居る組織を動かそうとしたらこのくらいのスタッフは最低でも必要だろう(まだ足りているとしてよいか微妙なくらいだ)。

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